抜粋内容
第41回 総会あいさつ 全国連合退職校長会 会長 土橋荘司
祝辞 文部科学大臣 中山 成彬
総会報告
役員一覧
宣言・決議 (HP内資料へリンク)
平成17年度事業計画 (HP内資料へリンク)
全国連合退職校長会会則改正
第41回 総会あいさつ 全国連合退職校長会 会長 土橋荘司
全国連合退職校長会
会長 土橋荘司
本日ここに第四十一回定期総会を開催するに当たり、来賓として、文部科学省より中山成彬文部科学大臣のご臨席をはじめ、藤原秘書官及び初等中等教育局前川企画課長のご出席を頂き、更に各種学校長会や各種教育組織団体の代表の方々及び各都道府県退職校長会の代表のご出席のもとに総会が盛大に開催できますことを心からお礼申し上げます。
社会の状況を眺めましたとき、民族及び宗教的争いが様々な形で依然として繰り返され、イラクの関係ではわが国自衛隊の海外派遣という重大な問題、また国連改革にかかわる件など国際問題がつぎつぎに物議をかもしています。国内の問題では、先頃の尼崎の列車事故は思いもよらぬ大事故であり、改めて物のとらえ方として人間の命の迷いを考えさせられた実例で、心を痛める問題でした。また中国の反日問題、北朝鮮の拉致問題は苦悩すべき難問であり、これ等のことは今までの秩序が崩壊され、新しい理念が形成される時期であると一応考えられる次第です。
二十一世紀は、ご承知のように国際的な「知」の競争時代といわれ、国家の世界的自覚を強めるときです。ベーコンの「知は力なり」の言葉のように、解放され本当の知を身につけることにより本来的な知の力を回復することが出来るのです。よく考えてみると、知は、発想が民主主義に結びつき、民族が本当の力を持つためには知の主人になることです。民族が知の主人となる前提として、学ぶ権利がどこまで保障されるかが、重要であります。相変わらず物は豊富であるが、心は貧弱であり、学力低下の問題もこれから慎重に取り組み、学校週五日制や総合学習との関連をどうすべきかが問われることでありましょう。また、全連退の会員一人ひとりが、生きがいを求めて生涯学習社会を積極的に形成すべきであります。そして、会員の目安になる「綱領」を生活の充実に役立て、更に教育尊重の気風を高めるため「教育の日」を全国的に働きかけていく所存です。
これからも、皆さまの一層の健康と、全連退の発展を祈念して、私のあいさつといたします。
祝辞 文部科学大臣 中山 成彬
文部科学大臣 中山 成彬
第四十一回全国連合退職校長会総会が盛大に開催されますことを、心よりお祝い申し上げます。
本日、御参集の皆様方におかれましては、長年にわたり、学校運営の責任者として、学校教育の充実・発展のため、多大な貢献をされ、現在もなお教育界の先達として、御尽力いただいておりますことに対し、心より感謝申し上げますとともに、深く敬意を表するものであります。
我が国が二十一世紀において活力ある国家として更に発展し、子どもたちが夢と希望を抱くことのできる明るい未来を切り拓いていくためには、国家百年の計に立ち、「教育・文化立国」と「科学技術創造立国」の実現を目指した改革を積極的に進めていくことが重要であります。
私は、「子どもは社会の宝、国の宝である」という考えに基づき、新しい時代を切り拓く、心豊かでたくましい日本人を育成するため、昨年十一月、「甦れ、日本!」という私の構想を発表いたしました。これは、二十一世紀の厳しい社会を生き抜くために、互いに切磋琢磨し、「頑張ることを応援する教育」を目標とし、「挑戦する精神」をもった子どもを育てる教育を目指すものであります。文部科学省としては、国家戦略として、人間力向上のための教育改革を一層推進してまいります。
本日は、初等中等教育の改善・充実に関しまして、文部科学省の取り組みについて三点御説明させていただきます。
第一は、義務教育改革の推進についてであります。義務教育は、国家・社会の形成者となるべき国民の育成と、子どもたち一人一人に、その一生を幸せに、かつ有意義に生きるための土台をつくるという2つの大きな目的を持つものであります。人が人として生きていくうえで基本となる教育であり、天然資源に恵まれない我が国にとって、人材こそが最大の資源であり、義務教育の充実が重要であると考えます。
そのため、その実施に当たっては、国は、全国的な教育水準の確保、教育機会の均等、必要な財源の確保等についての責務をしっかり果たし、その上で地域や学校が創意工夫を発揮し、常にその時点で最善と考えられる教育が行われるようにすることが重要であると考えています。
現在、中央教育審議会の総会の下に義務教育特別部会を設置いたしまして、義務教育の在り方や、国の責任、都道府県・市町村・学校・家庭の役割など、義務教育全般について、タブーを設けず、精力的に御議論いただいているところであります。
特に、義務教育費国庫負担金については、地方六団体が廃止、税源移譲を主張していますが、全国全ての子どもたちに一定水準以上の義務教育を行うには、国による教育費の確保、安定した財源保障が不可欠であります。国庫負担制度は引き続き堅持していかなければなりません。こうした基盤があってこそ、地方の実情に応じた多様な教育ができるのであり、このことについて、皆様方におかれましても、教育界あげて地元・各界へ真摯に訴えていただきますよう、よろしくお願いいたします。
第二は、「確かな学力」の育成についてであります。我が国の子どもたちの学力の現状については、昨年末に公表された国際的な学力調査の結果、読解力が大幅に低下するなどの低下傾向が見られます。このことは深刻に受け止める必要があると考えております。
また、先般公表した平成十五年度小中学校教育課程実施状況調査では、全体としては、各学校における基礎的事項を徹底する努力等により、学力の低下傾向に若干の歯止めがかかったと考えられますが、結果を仔細に見ると、国際学力調査の結果と類似した課題も見られます。
こうした課題を真摯に受け止め、先般、中央教育審議会に対して、学習指導要領の見直しに当たっての検討課題を示したところであります。
第三は、「豊かな心」の育成についてであります。「豊かな心」の育成に関しては、規範意識や倫理観、命を大切にする心や他人を思いやる心などの豊かな人間性や社会性を育むことが重要であります。
このため、学校における道徳教育の充実、奉仕・体験活動や読書活動の推進を図るとともに、問題行動や不登校への適切な対応にも努めてまいります。また、勤労観・職業観を育成するためのキャリア教育の一層の推進を図ってまいります。
以上、申し上げてきたほかにも様々な課題がありますが、本日お集まりの皆様方におかれましても、教育に関する深い知識と経験を生かし、初等中等教育の改善・充実のため御協力くださいますようお願い申し上げます。
最後に、本総会が、所期の目的を達成し多大の成果が得られますよう御期待申し上げますとともに、全国連合退職校長会のますますのご発展と、御参集の皆様方の御活躍を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
総会報告
日 時 平成17年6月 8日(水) 午前 10時より
会 場 ハリウッド美容専門学校五階ホール
出席者 正副会長、常任理事、理事、監事、代議員等143名。
司会・進行 廣瀬 久(総務)
黙祷
1、開会の辞 宇田川敏夫副会長
2、国歌斉唱 指揮・中原 慎三 事務局員
3、綱領斉唱
4、会長挨拶 土橋 荘司会長
5、来賓祝辞
○文部科学大臣 中山 成彬殿
○全国校園長会長代表
全国連合小学校長会
会長 寺崎 千秋殿
○来賓紹介 青 宏事務局長
6、議長選出
前日の全国理事会で菅谷英孝・石倉鐵雄の両副会長が選出された。
7、議 事
第1号議案 平成16年度会務報告 戸張敦雄総務部長
第2号議案 平成16年度決算報告 藤木達三郎会計部長
・監査報告 太田静夫監事
第3号議案 役員の承認
本年度は役員の改選期で変更も多く、別紙のように決定をみた。
第4号議案 平成17年度目標・事業計画 各部長・委員長から提案
第5号議案 平成17年度予算案提案 藤木会計部長
第6号議案 会則の一部改正について 戸張総務部長提案
第7号議案 宣言・決議の採択 ※各提案は質疑後、原案の通り承認された。
8、感謝状並びに記念品贈呈
9、全連退の歌 斉唱 指揮・中原事務局員
10、閉会の辞 船田徳壽副会長
休 憩・昼 食
11、講演
講師 お茶の水女子大学教授 藤原 正彦先生
演題「日本のこれから」を考える
○講師紹介
・先生は、一九四三年(昭和18年)に、作家の新田次郎氏と藤原てい氏の次 男として、旧満州新京市(中国 長春市)でお生まれになる。
・東京大学理学部数学科を卒業。同大学にて博士号取得。専門は数論。東京都立大学理学部助手、コロラド大学助教授などを経て現職。
・著書に「祖国とは国語」(講談社)などのほか、数学者に関わるもの多数。特に「若き数学者のアメリカ」(新潮社)で、日本エッセイストクラブ賞を受賞。二〇〇四年二月まで文部科学省文化審議会委員を務められた。
・また先生は数学者でありながら、国語力育成の重要性を訴え続け、子どもの「生きる力」としての国語力の育成が日本を支えると主張されている。
・講演内容は、次号に掲載します。