全国連合退職校長会(平成22年3月)

 昭和56年に「教育憲章制定に関する全国世論調査(教育憲章制定推進委員会)」が実施され、その結果、国民の教育実践規範として、国民的自覚を促すに足る教育指標の確立を目指すべく「日本の教育憲章」の制定が提唱された。その後、全連退としても、この提唱を受けて、教育基本法の改正を促すとともに、教育憲章制定の意見具申を行い、その制定を促進する意味から、平成12年に、先行試案として「教育憲章(案)」を提示した。その後、平成18年に新教育基本法が制定されたが、残念ながら補足等に教育憲章の表記はなかった。
 そこで、我々は教育憲章の必要性を重視して、各都道府県退職校長会の意見を求め、常任理事会、副会長会等の機関決定を経て、従来の「教育憲章(案)」を見直し、ここに全連退として改めて独自に「全連退教育憲章」を制定した。この教育憲章が組織の基本規範である「全連退綱領」と並び、今後の日本の教育振興の指針として、あらゆる機会に高く掲げられ、趣旨の徹底が図られることを期待したい。

全国連合退職校長会 教育憲章

 われわれは、教育基本法の精神を踏まえ、日本の教育推進の指針として、この憲章を定める。

 日本の教育は、個人の尊厳、生命に対する畏敬の念を重んじ、日本人としての自覚と誇りをもち、世界の平和と豊かなる文化の創造、人類の福祉に貢献できる心身ともに健康で主体性のある国民の育成を期するものである。

 そのために、われわれは、以下に具体的な目標を掲げ、人間育成の具現化に努める。

  1. 人間尊重の精神にのっとり、一人一人が自他を大切にし、心身ともにたくましく生きる力をもつ。
  2. 日本の自然を愛護し、豊かな情操を培うとともに、地球環境の保全に尽くす。
  3. わが国が、はぐくんできた文化や伝統を尊重し、他国の文化への理解を深め、豊かな文化を創造する。
  4. 日本の美しいことばを大切にし、礼節を重んじ、豊かな人間性を培う。
  5. 誠実さや勤勉さを大切にし、勤労の意義と奉仕の尊さを知り、共に生きる喜びをもつ。
  6. 生涯にわたり、向学心に燃え、真理を求め、創造性豊かに主体的に生き抜く力をもつ。
  7. 和の精神と思いやりの心をもち、温かな家庭と心の通い合う地域社会の形成に努める。
  8. 善悪の判断を正しく行い、公共の精神と社会の一員としての自覚と責任をもって社会の発展に尽くす。
  9. 民主的な社会及び国家の形成に努め、国と郷土を愛するとともに、他国と協調して世界の平和と発展に尽くす。

平成22年2月23日 制定