全国連合退職校長会
会長 田中 昭光 

 本日は、コロナ禍の感染防止対策が緩和され4年ぶりに全連退総会が開催されることとなりました。この間、各都道府県退職校長会の諸活動が停滞することなく実施されましたことを伺い安心いたしました。

 開催にあたり、永岡桂子文部科学大臣の代理として、文部科学省初等中等教育局視学官大滝一登様をはじめ、日頃ご指導、ご協力、ご支援等を賜っております来賓の方々のご臨席を賜りましたこと、心より感謝し御礼申し上げます。

 全連退では、理事会、副会長会、常任理事会の活動を縮小しましたが、年度の「活動計画」に基づいて活動できました。

 特に、この間学校教育に多大な影響が生じましたが、児童生徒が少しでも充実した学校生活が送れるよう各学校の教職員が献身的に教育活動を展開されたことに敬意を表します。

 全連退の活動目標として、教育尊重の気運を高め教育の振興に寄与することを掲げ、各都道府県退職校長会において、地域の良好な環境の形成に努めてまいりました。

 特に、学校運営協議会に参画する等、地域の方々と連携協力し、地域の文化活動や学校の要望に応じ、体験学習やキャリア教育の充実に貢献しています。

 文科省は、子供たちが情報化やグローバル化の進展や絶え間ない技術革新等による急激に変化する予測困難な社会を生きていくために求められる資質・能力を育成するため、指導要領を改訂し「主体的・対話的で深い学び」を展開してきました。更に、令和4年「令和の日本型学校教育」の構築を目指して、全ての子供たちの可能性を引き出す「個別最適な学び」「協働的な学び」の実現のために、GIGAスクール構想の実現が加速され、ICT環境整備やオンライン学習、デジタル教科書の導入などが始まりました。しかし、現況では、指導の在り方に課題を抱え、教員の勤務の負担が重くなっています。

 一方、いじめ、不登校、自殺などの防止や、ヤングケアラー対策に対する支援が求められていますが、教職員の対応だけでは解決できない問題で重い負担が懸っています。

 文部科学省では、いじめ防止対策推進法の周知により、学校での早期発見、対処のための対策を立てることを義務づけています。しかしながら近況では、児童生徒の不登校や自殺者が増加傾向にあります。

 児童生徒の健やかな心身を育むことは、学校教育本来の使命でありますが、保護者、地域の支援が必要です。

 一方、一人一人の児童生徒にとって安心して学ぶことが出来る学校の生活環境を整えることは必要不可欠です。

 そのためには、教職員が一人一人の生徒に触れ合うことが出来る十分な時間を確保することが求められます。

 全連退では教育振興部、教育課題委員会が中心となって、中央教育審議会の情報や都道府県の学校教育の動向や当面の課題を的確に収集し、教育環境を一層整備改善することをまとめ、文部科学大臣や文部科学委員会の国会議員に対し引き続き教育予算の増額を要望していきます。

 令和5年度の初等中等教育関係の主な予算は
○教職員定数の改善 ○小学校高学年の教科担任制 ○教育相談体制の整備 ○特別支援教育の充実 ○道徳教育の充実 等です。

 全連退としては、教育振興に関する要望として、教育の機会均等と教育水準の維持・向上を図るため、義務教育制度の根幹を為す義務教育標準法、義務教育国庫負担制度、教科書無償制度等を堅持するとともに、国庫負担率二分の一への早期復元、また、働き方改革には教育予算の増加が基本であることを要望していきます。

 最後に、近年、退職校長会の会員の高齢化や中途退会者の増加、新会員の入会の減少が懸念されています。会員の皆様には、長年に渉り教育世論の喚起、学校や地域社会に貢献してきた活動が停滞することなく継続していくことをお願いし、ご挨拶といたします。

令和5年6月7日