抜粋内容

平成17年度の「要望書」を
尾辻秀久厚生労働大臣、中山 成彬文部科学大臣 へ提出

全国校園長会会長より
幼児教育への関心を  全国国公立幼稚園長会 会長 酒井幸子

力を高め自信と誇りをはぐくむ 全国連合小学校長会 会長 寺崎千秋

全連退研究冊子の活用を  会報部

副会長会の報告

平成17年度の「要望書」を
尾辻秀久厚生労働大臣、中山 成彬文部科学大臣 へ提出

平成17年度の「要望書」を尾辻秀久厚生労働大臣、中山 成彬文部科学大臣 へ提出  

平成十七年八月四日、土橋荘司会長をはじめ、廣瀬 久部長、戸張 敦雄総務部長、小川 嘉一郎福利厚生部長、青 宏事務局長は、全連退の本年度の「要望書」を尾辻厚生労働大臣(代理 貝谷 伸年金局総務課長)中山文部科学大臣(代理 梅山 富弘秘書官)へ提出し、意見交換を行った。

●厚生労働大臣への要望書

一、退職公務員の生活の安定を堅持するため、共済年金制度、特に、職域年金部分の存続に努められたい。
二、年金支給年齢の繰り上げに伴い、特に六十五歳までの再雇用・再任用に係る条例の制定を
   全国的に促進されたい。
三、高齢者医療制度の創設等、医療保険制度の改革に当たり、保険料負担や患者の一部負担金等で、
   高齢者に負担過重にならないよう配慮されたい。
四、今後の税制改正に当たっては、高齢者の生活の実態に配慮し、税負担の急増を避けられたい。

〈意見交換〉
冒頭、土橋会長、小川福利厚生部長より、各要望事項についての説明を行い、全連退の主張を明確にした。
その後、今回から出席された保険局総務課老人医療企画室 石津 克己室長補佐 職業安定局高齢・障害者雇用対策部企画課 西澤 栄晃総括係長 の二氏と、それぞれの担当課からの専門的な内容をもとに意見交換等を行った。

貝谷課長より『全連退の要望は、概ね本省の政策の方向と一致している。この気運を高めていくことに努力する』との発言があった。

そのなかから、主要な懇談内容は次のようであった。
ア、 ”職域年金部分“については、いわゆる恩給に遡るもので、公務員のみの優遇策と見なされ、風当たりが強い。   しかし、公務員の職務の特殊性や身分上の制約等と考慮して設けられたもので、その存続には
    全連退の意を汲み対処する。
イ、年金支給年齢の繰り上げに対応する民間企業の動きにも目を配り、国として安定した再雇用に向けて努力する。
ウ、世界に冠たる我が国の医療保険制度であるが、現実の問題として、人口の減少、高齢者の増加等がからみ、
   いわゆる医療費の増加は避けられない見通しもある。高齢者医療制度審議会は、間もなく ”試案“を示し、
   世に問うことになる。ここで一言申し上げたいことは、 ”基本健康診査を積極的に受診し、早期に病を発見し、
   治療にあたる人が多い地域の一人当たり医療費の負担額は低い“というデータがある。
   従って健康な国民の増加にご尽力いただきたい。
エ、高齢者の税制改正等についての要望は、厚労省以外に、財務省主計局参事官、総務省福利課等へも
   提出されることを希望する。
※この件は、早速、福利厚生部を中心に検討する。

予定時間(三十分)を大幅に超える意見交換が行われ、一定の成果を得たと考えている。

●文部科学大臣への要望書
『新しい時代を切り拓く、心豊かでたくましい日本国民の育成』を目標に掲げて活動している全国連合退職校長会は、目標に迫る教育の実現を願い、左記事項を要望する。

I 教育上の諸課題解決に関する要望
1、教育基本法の改正を、速やかに実現されたい。
2、「義務教育費国庫負担制度」及び「人材確保法」を堅持し、教育水準の確保等に努められたい。
3、「教育尊重の気運を高め、国民挙って教育の振興を期する日」としての「教育の日」の制定を主導されたい。
4、各教育委員会の学校への支援体制強化策として、各教育委員会へ専門的業務に専念する指導主事の配置、
   並びに、学校の危機管理機能を充実するための法務相談員(仮称)を配置されたい。
5、学校、家庭、地域の役割と責任を明らかにし、その連携の在り方を明らかにされたい。
6、教育に関する諸施策の企画実施に当たっては、校園長会の意向を尊重されたい。

II 学校教育の振興に関する要望
1、最近頓に、学校における「豊かな心の育成」が求められてきた。そのため、各学校に、
   「道徳(倫理)主任」の早急な配置を要望する。
2、教員の資質向上策の一環として、教員免許の授与に国家試験を導入すること、並びに、
   処遇に反映する教員免許の更新制を創設されたい。
3、学級編制基準の見直しを早急に実行されたい。また、学習集団の規模は、教科やその指導内容、
   児童生徒の実態、指導教師の力量等により決まると考えている。従って、編成基準が、校長の判断で、
   柔軟に運用できる制度設計になることを要望する。
4、学校教育の根幹をなす学習指導要領を、教科・領域等の再編を含めて、抜本的に見直されたい。

III 退職校園長の活用及び福利厚生等に関する要望
1、文部科学省の設置する審議会や有識者会議等の構成員及び、大学の教職課程並びに
   教職大学院の教員に、退職校園長を登用されたい。
2、春秋叙勲にあたり、学校教育関係者を重視されたい。

〈意見交換〉
  今年の文科相への要望は、昨年同様、大臣とお会いし、直接本会の意をお伝えし、一定の回答を期待していたが、緊急な国会対応のため、梅山 富弘大臣秘書官との意見交換になった。

  はじめに、土橋会長、廣瀬部長より、各要望事項についての本会の主張を明らかにし、意見交換を行った。

主な事項についての発言内容は次のようである。
ア、教育基本法については、文言に係ることで難航しているが、省内の検討も進み、
   やがて(時期未定)国会へ提出する手筈になっている。
イ、義務教育費国庫負担制度については、その堅持が大臣の持論であり、強く中教審へ働きかけている。
   (本会は、中教審ヒヤリングの場でも、その堅持を訴えている。)
ウ、「教育の日」を制定している都県が20を超えている。又、現状では、十一月一日を「教育の日」とする県が、
   大半を占めているとのことである。国としての制定について大臣へ伝え、検討していく。
エ、「道徳主任」の設置各教委への指導主事の配置については、「教職員配置等の在り方に関する
   協力者会議」や、「公立義務教育諸学校の教職員定数改善計画」(第八次は未発足)等の
   検討結果等を基に、検討する。
オ、学習指導要領の見直しについては、貴会のお考えの通り子どもの学習意欲の高まりや、
   学ぶ喜び満足感を実感させることも含めて検討していくことを、担当部局に伝える。
カ、叙勲に関しては、教員の初等中等教育に関する実績を評価して、関係予算の計上に努めていく。

以上のことを秘書官から大臣に伝え、本会の要望実現に尽力されることを強く要望して意見交換を終えた。その後の報道でご案内の通り、学級編制基準の見直し、その弾力的な運用に、一定の方向が示され、法改正に向けた動きが生じている。

また、教員免許の更新制については、中教審のワーキンググループが、一定期間ごとに更新をする「教員免許更新制」の導入を決めている。

今後の中教審等の審議状況に注目していきたい。

(文責 戸張総務部長)

全国校園長会会長より
幼児教育への関心を  全国国公立幼稚園長会 会長 酒井幸子

全国国公立幼稚園長会 会長 酒井幸子

全国連合退職校長会の先生方には平素から本会に温かな御支援を賜り感謝申し上げます。

本会は、全国の国立・公立の幼稚園長・約5400名で組織されております。理事会、総会、研究大会、研究協議会、都道府県会長会等を定期的に開催し、研究活動、課題解決のための協議、情報交換等を活発に行っています。幼児教育の変革期にある昨今は、シンポジウムや研修会を緊急開催するなど、行動する国公幼を自負しています。

少子化や行財政改革等を背景に、この数年園数の減少を見るなど組織運営上幾つかの懸案事項も抱えています。しかしながら一方で、多くの研究実績等を有する幼児教育機関として本会の果たす役割が明確かつ多大になっている状況も感じています。

ところで本年一月、中央教育審議会から「幼児を取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」答申が出されました。国民的な議論の場で幼児教育が一年三ヶ月の間論議されたことは極めて意義あることと考えます。家庭や地域の教育力の低下、就労する女性の増加等社会の情勢から、幼稚園だけでなく就学前の子どもたち全てを視野に幼児教育の在り方を考えるべき時にあると言えるでしょう。

私はこの機をとらえ、多くの方に幼児教育への関心を広げたいと願っています。就学前の幼児期の一人一人の確たる育ちこそが、小学校以降の教育を、そして人としての豊かな育ちを支えると考えるからです。

終わりになりましたが、貴会の益々のご発展を祈念し、本会への御指導、御支援をお願いし挨拶と致します。

力を高め自信と誇りをはぐくむ 全国連合小学校長会 会長 寺崎千秋

全国連合小学校長会 会長 寺崎千秋

全国連合小学校長会は、今年度22,178校でスタートし、特色ある学校づくり、自主的・自律的な学校経営を推進し、我が国の小学校教育の振興に組織をあげて尽力しております。

今日、学校教育の信頼の確立が強く求められ、これからの義務教育の在り方も大きく変わることでしょう。このような課題増大の折り、各学校において何からどのように取り組むか、まさに校長の決断にかかっています。全国連合小学校長会では、こうした現状を受け止めた活動方針を設定し、各事業を円滑かつ効果的に実施・遂行して、我が国の小学校教育の振興を目指しています。その上で、校長として特に「力を高め自信と誇りをはぐくむ」教育を推進することが大切であると考えています。

具体的には、「子どもの力を高める」ための校長のリーダーシップの発揮、「教職員の力を高める」ことへの校長自らの責任の遂行、そして、「校長自らの力を高める」ことで現在の教育改革の先端となる取組みとその使命の遂行であります。

子どもたちが21世紀に大きく羽ばたくためには、日本人としての自信と誇りをもつことが大切です。「力を高め自信と誇りをはぐくむ」教育を今こそ推進し、教育改革に先端となって取り組み、国民の期待に答えてまいります。

本会の会員の皆様におかれましては、今後とも私どもの小学校教育振興の活動と教育改革への対応にご理解いただき、ご指導・ご鞭撻賜りますよう切にお願いする次第です。

最後になりましたが、貴会の益々のご発展を心からお祈り申し上げます。

全連退研究冊子の活用を  会報部

会報部

現在進められている教育改革では、子供たち一人一人に「確かな学力」と「豊かな心」を育むと共に、地域に開かれた「信頼される学校づくり」を進めることの大切さが指摘されています。

このため、まず小・中・高校を通じ、「基礎・基本をしっかり学び、自ら考え自ら行動できる」主体的な知力をもつこと、さらにはそのため、的確な評価が重要なことになります。

また、家庭教育は、すべての教育の出発点であり、「生きる力」の育成のうえで重要な役割を果たすものです。先の「中教審教育特別部会」において、土橋会長よりの本会としての意見発表の中でも強調されています。(本会報P12)
本会では、これらの課題にかかわって、これまで「中教審対策委員会(現教育課題検討委員会)」より、研究をまとめた次のような冊子を刊行しています。

ぜひ改めて一読を願い、その活用を期待するものです。 >>書籍案内

◎家庭の教育力の充実のために 家庭教育の在り方(H. 9年度)
◎学校教育における 基礎・基本 そのとらえかた(H. 10年度)
◎学校教育における 基礎・基本 そのとらえかた(2)(H. 11年度)
◎特色ある学校を創り 学校を開く(H. 12年度)
◎これからの学校における 評価 のあり方(H. 13年度)

※冊子は残連帯事務局が保管し、実費配布しています。詳しくは事務局までご連絡を。

副会長会の報告  

 平成17年8月1、2日、全連退事務局及び「ゆうぽうと」において副会長会が開催され、二日目は文部科学省を訪問、生涯学習政策局長と面談した。

● 出席者
会長    土橋 荘司
北海道地区 井口 健彦副会長
東北地区  高橋  宏副会長
関東甲信越地区
船田 徳壽副会長
東京地区  宇田川敏夫副会長
東海北陸地区 三林 貞夫副会長
近畿地区  遠藤 繁雄副会長
中国地区  上田 文男副会長
四国地区  寺尾 好男副会長
九州地区  重見 英敏副会長
東京からは、各部長・委員長、事務局長、同職員計十五名が参加した。

(1)開会の辞 宇田川副会長

(2)会長あいさつ(要旨)
 最近は物が中心、人間の教育で重要な心の美しさ、誇りが失われてきている。今、教育の問題をどうするかが大きな課題。
 今年は役員改選があった。
 副会長は組織を自分の体の一部のように自分のこととして考え、深め、広めてほしい。
 長たるものは、孤独に耐えることも大切である。

(3)会務報告(概要)
○総務部
・中教審のヒヤリングに臨んで
文部科学大臣、厚生労働大臣への要望書について
・第二回理事会について
・第二回副会長会について
・記念植樹について
○教育振興対策部
・「教育憲章」の活用について
・「教育憲章」制定の市町村の調査、見学
○生涯学習推進部
会員の意識と参加の調査
・実地見学・調査
○福利厚生部
厚生労働省、文部科学省への要望活動(退職校長の登用、叙勲等について)
○会報部
高齢者(会費免除者)への会報配布は、5%増の枠内で活用を。
○教育課題検討委員会
「義務教育におけるこれからの学校の在り方」を検討。
○教育基本法検討委員会
「学校と教育委員会の関係及び学校の自主性・自律性の確立」について検討。
○「教育の日」制定推進委員会
「教育の日」制定状況調査
本年度は市町村の実態も含め調査。
○出版委員会
平成18年度出版予定の図書の基本構想。全連退ならではのもの-「静かに地道に、情熱をもち子供ととり組む教師」-
○会計部
地区連絡協議会への補助金算出の規準及び金額

(4)協議事項(要約)
○意見交換・協議
副会長へのアンケート
 (一) 全連退の在り方について
 (二)副会長並びに副会長会の在り方について
 (三)「退職校長会のメリット」をどう考えたらよいか。
についてのまとめを中心に意見交換。二日目の「朝の会」で会長から次の様な要旨の話があった。

 全体的には安定している。
 全連退は一つの組織体である。各地区の独自性は尊重しなければならないが、その間にズレが出る。連合体であるから、各地区、各県、各人がそのことを踏まえ、足を地に着け、それを組織的な問題としてどう消化するか、どう調和させるかが課題。
 副会長は単に会則に位置付けられているからではなく、その意図、意味を考え、全連退の考え方を自分自身の問題として消化してほしい。自分の枠のみにとらわれず、広い視野に立ち、地域の特色を生かし、よいと思ったことは決断し、行動に移してほしいが、組織体であるから一つにまとまることが重要。
今までわれわれは多くの人々の指導や援助を受けて来た。今それぞれの年齢、経歴や立場を生かし、それを世に返すことがメリットであり、自らできる範囲でメリットを創っていく熱意がほしい。

○情報交換・協議
・北海道
準会員制の拡充、現職校長会との連携強化。「北海道教育の日制定推進協議会」発足に向け道教委と打合わせ、25団体参加で努力中。
・東北地区
地区協議会の協議題は「教育の日」が主である。組織の充実と活性化が課題。
・関東甲信越地区
会員の高齢化、財政、参加意識の低下が課題。
会則改正により地区協議会が明文化されてよかった。
・東京地区
「教育の日」の活動の充実、会員増強・高齢化対策、生涯学習の推進が課題。
・東海北陸地区
地区協議会の議題は各県へのアンケートによって決定。 
「教育の日」岐阜、石川県で制定。他は実状に即し努力中。
・近畿地区
地区協議会、本年度は「組織の拡充と活動の活性化」を協議題。記録をまとめ発送。
・中国地区
開催県の順序は決まっている。協議で、結論を出すより情報の交換が中心。会則はなく慣例による。成文化が課題。
・四国地区
香川、徳島は全校種で組織されているが、愛媛、高知は高校のみ。「教育の日」徳島制定。香川は議会で継続審議中。
・九州地区
協議会の会則あり。八県で輪番制で開催。本年度の課題として「教育の日」制定、個人情報、組織の拡充と活性化。
(5)文部科学省訪問
二日目の八月二日午前、生涯学習政策局長 田中壮一郎氏と面談、同局長より資料(時報「市町村教委」より抜粋)を用いアメリカ、イギリスとの比較で教育改革の現状についての講話。
開かれた学校、「教育の日」等について質疑応答後終了。

(文責 廣瀬 久部長)