厚労省は、高度な医療を担う大病院を、紹介状なしで受診する患者の費用負担を引き 上げる方針を固めた。

軽症の患者の治療は診療所や中小の病院が担い、大病院は重症患者の治療に専念しや すくすう狙いがある。

同省は、社会保障審議会の部会で、対象となる大病院の基準や引き上げ額などを協議 し、来年度の通常国会に関連法案を提出したい考えだ。

引き上げ方法については 1初診料(2,820 円)や再診料(720~730 円)の患者 負担を、現行の1~3割から全額負担にする。2診療を受けている患者が負担する通常 の費用に加えて定額の負担も求める。── などの案を検討している。

現行でも 200 床以上の病院は独自判断で紹介状なしの患者に対して、追加の自己負 担を求めることができる。

ただ、対象の約 2,700 病院のうち、追加負担を求めているのは半数弱で、外来患者 の6~8割が紹介状を持っていない。 (2014/09/※ 読売新聞から)

75 歳以上を対象にした後期高齢者医療制度がスタートしたのが 2008 年度で、75 歳以上は独立した医療制度となり、窓口負担は 1 割となった。その際、70~74 歳の 医療費の窓口負担は 2 割とすることも併せて決められた。小学生から 69 歳までの 3 割負担から、2 割、1 割と、年齢が上がるにつれて負担が漸減される仕組みである。

新たに 70 歳になる人にとっては、3 割から 2 割になるわけだが、すでに 1 割だっ た人にとっては 1 割から 2 割の負担増になるのに配慮したのか、施行と同時に 1 割の まま据え置く特例措置が取られ、1 年また 1 年と先延ばしされてきた。その穴埋めに 毎年約 2,000 億円もの税金が使われてきて、この 6 年で総額が 1 兆 1,600 億円に上 った。

今回の見直しで、この状況を改め、2014 年4月から順次 2 割にするというものだ。 かって、高齢者の窓口負担は、1973 年に医療費が無料化されたが、不要不急の受診 が増えて病院が老人のサロン化現象などが出てきて社会問題となった。

現在のような 1 割負担になったのは 2001 年である。現役並みの所得がある人につ いては 2 割に、2006 年以降は 3 割負担に引き上げられた。
国民健康保険は従来 3 割負担だったが、企業健康保険などでは負担は少なく、1 割か ら2割になり、2003 年から 3 割に引き上げられたのである。

2014 年 4 月1日以降、新たに 70 歳になった人から順次 2 割負担にしていく仕組 みになったが、窓口で混乱が起きないように、既に 70 歳に達していれば 1 割負担の ままでよいことにした。

69 歳の以下の人は、現在は 3 割の負担が 70 歳になると 2 割になり、「高齢者個人 でみれば、窓口負担が増える人は出ない」と担当は説明している。

高齢化が急速に進む中、医療費は今後も増えることが推計されており、高齢者も経済力に応じた貢献をすることは、現役世代の納得と協力を得て、この医療制度を維持して いく上でも欠かせない。