政府は 2015 年度から、膨大な医療データを活用し、医療費の抑制につなげていく 方針を決めた。

先進的な自治体はすでに、データを利用した患者の健康管理などが行われている。
厚労省の調査によると、2011 年度の住民 1 人当たりの医療費は高知県(61 万 2,000 円)、山口県(60 万 5,000 円)、広島県(59 万円)の順に高かった。最も低 かったのは千葉県の 39 万円だった。このデータを見ると西高東低の傾向がある。

また、入院患者に限定した 1 人当たりの医療費でも、やはり高知県が最も高く 33 万 3,000 円。最も安い千葉県 15 万 9,000 円の 2.09 倍に上った。

75 歳以上の後期高齢者に限ると、最高は福岡県の 115 万 3,000 円で、最低の岩 手県の 73 万 3,000 円との差は 1.57 倍だ。

政府の分析によると、医療費の高い地域は、病院のベッド数も多い傾向があるという。 病院の経営を考えれば、ベッドが埋まるよう入院患者を増やそうとするのは自然の発想 だというわけだ。

実際、厚労省の調査(2012 年 10 月)では、人口 10 万人当たりのベッド数は、 高知県が 2,476.2 床と全国で最多、最も少ない神奈川県の 821.0 床の約 3 倍だった。 高額な医療費に結びつきやすい長期入院のベッド「療養病床」の数も高知県が 904.5 床でトップ、最下位だった宮城県の 131.8 床の 7 倍近くに上った。

高知県の医療政策課では、「ベッド数が多く入院日数も長いのは、山間部に高齢の単 身者が多く、病気になると在宅よりも入院になる事例が多いためだろう」と説明してい る。

ベッド数以外にも、同じ病気であっても、患者が住む地域やかかった病院によっては、 全国的な傾向より通院の回数や処方される薬の種類・量などが多いケースもあるとみら れる。

(2014/08/19 読売新聞から)