抜粋内容
総会挨拶 会長 土橋荘司
祝辞 文部科学大臣 遠山敦子様 初等中等教育局視学官 宮川八岐様(代読)
祝辞 各種校園長会長代表 全国連合小学校長会 会長代理 調査研究部長 森正樹様
講演 演題「デジタル情報化時代の数」
<講師 東京大学名誉教授 理学博士 山圭次郎 >
総会内容
「全連退の歌」 - 光かかげて- 完成しました
総会挨拶 会長 土橋荘司
全国連合退職校長会 会長 土橋荘司
本日ここに我が全国連合退職校長会、第三十九回総会を開催するに当たり、文部科学省より初等中等教育局視学官宮川八岐先生をはじめ各種の学校長会代表の方々のご臨席のもと、各都道府県退職校長会の代表の皆さん方の参加により、盛大に総会が開催されますことは誠にご同慶に耐えません。
さて、世界はイラク戦争をはじめとし、国際間の政治、宗教等の抗争、テロなど緊張が続き、生命や人間存在の尊厳までも危ぶまれる状況となっています。また、わが国に於いては、この様な世界状勢への対応や経済問題の解決が喫緊の課題となり、社会不安、殺人や自殺の多発なども見のがすことはできません。
二十一世紀は科学技術がより進歩し、人間の物質的生活は豊かになるでしょうが、そのためには、物事を分析、解明するとともに、総合、創造していくことが重要と考えます。しかし、一方において、われわれが人間としてよりよい生き方、在り方を根底とする精神面、価値観の問題を考えることがより重要であると思います。不易と流行ということが言われますが、人類が長い歴史の中で培ってきた人間存在の意味、価値観等の中のよいもの、不易なものを大切にしながら、新しい時代を拓く価値観等を力を合わせ創造していくことが今こそ肝要であると思う次第です。
日本の教育面では、教育基本法の改正が大きな課題ですが、学校教育の面では、学力や学習意欲の低下、不登校や怠学等様々な問題があり、その解決には検討すべき多くの課題があると思います。
文部科学大臣は五月十五日、中央教育審議会に、今後の初等中等教育改革に関する諮問をしましたが、学校週五日制の問題、教科書問題、学力の問題、総合的な学習の時間の問題、教師の資質向上の問題等、学校の在り方にかかわる課題は山積みしています。目先の改革だけでなく、教育の本質に立ち、根本的で、具体的に解決の道を構築することが大切であります。
教育は学校だけでできるものではなく、国家百年の計たる国民的な課題でもあります。
日本の教育振興に寄与することを目的とした本会は、そのため様々な事業を推進しようとしていますが、特に「教育の日」を設定し、教育尊重の機運を高め、落ち着いた励みのある教育環境づくりをしていきたいと思います。会員の皆様のなお一層のご理解とご協力をお願いし第三十九回総会の挨拶といたします。
祝辞 文部科学大臣 遠山敦子様 初等中等教育局視学官 宮川八岐様(代読)
文部科学大臣 遠山敦子様 初等中等教育局視学官 宮川八岐様(代読)
本日の、第三十九回全国連合退職校長会総会の開催をお祝い申しあげるとともに、皆様方の長年にわたる、我が国の教育界への御尽力に感謝と敬意を表すものであります。
二十一世紀に入り、世界も日本も、さまざまな難しい問題に直面しています。このような中で、現に直面している課題や、また今後の新たな課題を乗り越えて発展し、心豊かで活力ある、国民が希望をもてる社会を築いていくための鍵は、教育をおいて他にありません。
このような観点に立ち、現在、初等中等教育の改革と大学の構造改革を力強く進めております。この「教育の構造改革」を貫く理念は、「画一と受身から自立と創造へ」にありますが、教育関係者である皆様はもとより、広く国民がこのような教育改革の大きな流れをご理解いただいた上で、未来を担う子どもたちのために、愛情と熱意を持ってお取り組みくださることを期待し、「教育の構造改革」をまとめました。
この「教育の構造改革」の理念をわかりやすくまとめれば、 (一)「個性」と「能力」の尊重、(二)「社会性」と「国際性」の涵養、(三)「選択」と「多様性」の重視、(四)「公開」と「評価」の推進ということになると思います。
第一に、「個性」と「能力」の尊重についてであります。
「知の時代」といわれる現代において、確かな学力の定着は、国民一人一人の自己実現を図る上で、また、我が国の競争力の知的ライフラインとして最重要であり、「護送船団方式」といわれる画一的な方法を改めることが必要です。
そのために、初等中等教育では、一人一人の子どもの個性と能力に応じたきめ細かな教育を展開し、「確かな学力」を育むことが大切です。
我が省としても、各学校の取組を積極的に支援する観点から、新しい教職員定数改善計画を着実に推進するとともに、「学力向上フロンティア事業」や「スーパーサイエンスハイスクール事業」をはじめとする、「学力向上アクションプラン」と位置付けた各種の事業を展開し個に応じた指導や学習意欲の向上などに努めています。
今後とも、生徒一人一人の学習状況を適切に評価し、指導の改善に生かしていくことが極めて重要であることから、各学校において、明確な評価規準を作成するなど、生徒の学習状況を適切に把握し、指導方法の一層の工夫改善や教材の開発など、確かな学力の向上に取り組んでいただきたいと考えております。
第二に、「社会性」と「国際性」の涵養についてであります。
豊かな心と健やかな体を培うことは、教育の不易な使命です。今日においては、初等中等教育及び高等教育を通じて、社会性を培う教育活動を展開し、特に若年者の勤労観・職業観の醸成等に総合的に取り組むことが重要です。
また、我が国の伝統文化を尊重し、国際社会の一員として教養ある日本人の育成が必要です。
子どもたちにとって大切なことは、学力とともに豊かな人間性を培うことであります。小・中学生時代にしっかりした規範意識や社会性、他人を思いやる心などをはぐくみ、道徳的な実践力を育成することが極めて重要であります。このため学校において、全ての小・中学生に配布した「心のノート」を学校教育全体で積極的に活用いただくとともに、すぐれた経験や知見をもつ地域の人材を活用するなど、子どもたちの心に響く道徳教育の一層の充実に努めていただくようお願いしているところです。
また、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むため、ボランティア活動など社会奉仕体験活動や自然体験活動をはじめ、多様な体験活動を行うことは大きな意義を持つものであり、我が省としても、奉仕・体験活動の推進に努めてまいります。
児童生徒の不登校や問題行動への適切な対応については、校長のリーダーシップの下、全教職員が一致協力した取組や家庭、地域、関係機関等との連携の推進に努めていただくようお願いしております。特に不登校に関しては、本年三月に外部の専門家等からなる協力者会議において取りまとめられた報告書を踏まえ、不登校児童生徒への地域ぐるみの支援ネットワークの整備やスクールカウンセラーの充実など、一層の施策の充実に努めてまいります。
第三に、「選択」と「多様性」の重視についてであります。
各学校や地域が、地方分権の流れをしっかりと踏まえ、個性溢れる「顔」の見える学校づくりに切磋琢磨し、国民の多様なニーズに応える選択を可能とする教育の実現に努めることが不可欠です。
我が省としても、地域の創意工夫を活かした特色ある学校づくりを進めるため、小・中学校選択の自由の拡大、新しいタイプの学校の設置促進、学級編制の弾力化、外部の人材活用を推進してまいります。
教育の成否はその直接の担い手である教員にかかっております。このため、教員免許制度の改善や十年経験者研修制度の創設のための法律改正を行いました。また、社会体験研修の実施など、資質能力の向上を図るとともに、優秀な教員に対する表彰制度の調査研究を推進してまいります。
第四に、「公開」と「評価」の推進についてであります。
全ての学校が国民への教育の説明責任を果たし、信頼される存在となるため、情報公開を積極的に推進するとともに、適切な評価システムを構築して、教育の質を保証し、不断の検証を図ることが重要です。
学校が「地域の中の学校」として保護者や地域住民の信頼に応え、家庭や地域と連携協力していくことの重要性に鑑み、昨年三月に小学校設置基準等を新たに定め、自己評価の実施と結果の公表に努めること、学校の情報を積極的に提供することなどを規定し、昨年四月一日から施行したところであります。
このように、現在、教育の構造改革を力強く進めてきているところであり、中央教育審議会におきましても、本年三月に「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」答申をいただきました。また、去る五月十五日には、新たに「今後の初等中等教育改革の推進方策について」諮問したところであり、学校教育の根幹である初等中等教育に関して、教育内容・方法や制度の在り方などについてご審議をお願いしたところです。今後さらに中・長期的な展望に立ち、生涯学習の理念や大学改革の動向など総合的な視野の下に、学校教育の根幹である初等中等教育について、不断の改善・充実を図っていくことが求められています。具体的には、?新学習指導要領のねらいの一層の実現を図るため、教育課程及び指導の充実・改善方策について、また、?保護者や国民の信頼に十分に応えていくため義務教育などの学校教育に係る諸制度の在り方について、の二つの事項についてご検討いただくこととしております。
皆様方におかれましても、教育に関する深い知識と経験を生かし、教育の構造改革の趣旨を十分に御理解いただき、初等中等教育の充実・発展のため御協力いただきますようお願い申し上げます。
最後に、本会の御成功を心からお祈り申し上げ、御参集の皆様方の御健勝、御活躍を祈念いたしまして、祝辞とさせていただきます。
祝辞 各種校園長会長代表 全国連合小学校長会 会長代理 調査研究部長 森正樹様
各種校園長会長代表 全国連合小学校長会 会長代理 調査研究部長 森正樹様
平成15年度全国連合退職校長会総会の開催をお祝いを申しあげ、日ごろより全連退のご支援、ご指導に感謝申しあげます。
全連小も去る5月27日の総会で活動の第一歩を踏み出しました。教育の大きな流れの中で、教育経営を推進する校長としての責務を自覚し、リーダーシップを発揮して、創意ある教育活動、特色ある学校づくりに努め、未来社会に夢と希望をもち、たくましく生きる児童の育成を志向していくために、今年度は、七つの活動の重点を決め歩みだしたところです。
第一は、新しい時代を拓き、国際社会を主体的に生きる豊かな日本人の育成を目指す小学校教育の推進であり、第二として校長自ら研鑽に励み学校経営上の責任を明確にし、家庭地域との連携のもと生きる力の育成と活力ある学校づくりを目指す創造的で開かれた学校経営の充実に努めること、第三に、自ら学び自ら考える教育への基調の転換を図り、基礎的・基本的な内容の確実な定着と、個を生かす教育を展開する中で、主体的にたくましく生きる力の育成を目指す教育課程の編成・実施・評価に努めること、第四として、道徳教育を重視し、心の教育を一層推進して豊かな心をはぐくむと共に、児童理解を深め、いじめ・不登校などの課題解決を図り、一人一人の自己実現を目指す健全育成の推進に努めること、第五として、教職員一人一人が専門職としての誇りと自覚を持ち、学級経営の充実に努め、教科や生徒指導等の実践的指導力を高めるために研修体制の充実に努める、そして第六として、義務教育費国庫負担制度の堅持を強く求めいわゆる人確法の精神を尊重し、管理職を含む全ての教職員の職責に相応する適正な処遇が得られるよう要望活動の強化に努め、第七として全連小としての組織の活性化を図り、組織として長期的ビジョンを見据えつつ各地区・各都道府県小学校長会との連携を図り、関係諸団体・諸機関とも連携し小学校教育に対する正しい世論の喚起に勤めることです。
第六の教職員の処遇改善のため、全連小としてだけでなく他団体と連携して現在要請活動を行なっているところです。
終りに、全国連合退職校長会の益々の発展をお祈りすると共に、全連小へのご指導ご鞭撻をお願いし、お祝いの言葉と致します。
講演 演題「デジタル情報化時代の数」
<講師 東京大学名誉教授 理学博士 山圭次郎 >
講師 東京大学名誉教授 理学博士 山圭次郎
先生は東京市小石川区(現在の文京区)のお生まれで小学校時代より自然や数理現象への信頼感が強く、都立第五中学校(現在の小石川高校)から第一高等学校、東京大学と進学された。
理学部数学科を卒業されてから四十年間、東大教養学部で勤めあげられた。著書には、「解析学概論」(共立出版)「環と加群」(岩波書店)「数を考える」(岩波書店)などがある。
還暦を機に、亜細亜大学教授として移られ、初心にかえって物事を発生的・根源的に考えたいとのこと。大学進学を果たした学生諸君も、ハウツー文化に振り回されない心を築いてほしいとのことである。数学的な考え方という面で、何か手助けができたらと念じておられる由である。
○講演要旨
これから当分の間は、電子機器の都合に合わせ、離散的な数値で情報を表現して利用するという時代が続くであろう。このような時期、時代を支える世代の教育において、 ”数の役割 “の的確な認識が(むしろ数学以外の教科でこそ)求められると思う。
総会内容
日 時 平成十五年六月十二日(木 ) 午前十時より午後二時三十分まで
会 場 江戸東京博物館一階ホール
出席者 正副会長、常任理事、理事、監事、代議員等 計 百四十名余
司会・進行 戸張敦雄総務部長
黙祷
一、開会の辞 板井 角也副会長
二、国歌斉唱 指揮・中原慎三
三、会長挨拶 土橋 荘司会長
四、来賓祝辞
○文部科学大臣 遠山敦子様 初等中等教育局視学官 宮川 八岐様(代読)
○各種校園長会長代表 全国連合小学校長会 会長代理 調査研究部長 森正樹様
五、「全連退の歌」発表、斉唱 指導 末永 隆一氏(作曲者)
六、議長選出
前日の全国理事会で長村 治・ 島幸雄両副会長が選出され、次のように議事が進行された。
七、議 事
第1号議案 平成14年度会務報告 戸張総務部長提案
第2号議案 平成14年度決算報告 藤木会計部長提案
監査報告 問井 清監事
第3号議案 役員承認
本年度は役員の改選期で変更も多く、下段のように決定をみた。
第4号議案 平成15年度事業計画 各部長から提案
第5号議案 平成15年度予算案 藤木会計部長提案
第6号議案 宣言・決議案の審議
※各提案に対し、質疑があったが原案の通り承認された。
八、感謝状並びに記念品贈呈
九、閉会の辞 船田 徳壽副会長
休 憩
十、講演 講師 山 圭次郎先生 演題「デジタル情報化時代の数」
「全連退の歌」 - 光かかげて- 完成しました
先の会報147号でお知らせいたしました「全連退の歌」は、作曲の選定も終了し、完成をみました。
今次の総会当日には作曲にあたられた末永隆一氏(国立音大関係者)の指導で、出席者全員で斉唱しました。今後は各地区の集会の際など、ぜひ斉唱を期待しています。 (事務局)
<歌詞>
全連退の歌
光かかげて
作詞 大越 弘
作曲 末永 隆一
一、誇りを胸に 歩みきて
道を求めて 人つどう
先人たたえ むすびあい
教えのしるべ 見つめつつ
ともに励もう 全連退
二、光かかげて ひとすじに
世代をこえて 夢つどう
時の鼓動に ひびきあい
教えのちから おさめつつ
ともに生かそう 全連退
三、世紀の風に 抱かれて
命ふれあい 愛つどう
生きる幸せ わかちあい
教えのこころ 高めつつ
ともに進もう 全連退
<楽譜>