抜粋内容

新年随想 全国連合退職校長会 会長 土橋荘司

全国校園長会会長より
教育変革期と全日中 全国中学校長会 会長 藤崎武利

高校生とIT機器 全国高等学校長協会 会長 小栗洋

特別支援教育の動向 全国特殊学校長会 会長 岸本啓吉

全連退情報 「生涯学習の流れを探る」生涯学習推進部長 前田徹

新年随想 全国連合退職校長会 会長 土橋荘司

全国連合退職校長会
会長 土橋荘司

明けましておめでとうございます。会員及び家族の皆様にはよい新年をお迎えになられたことと、心よりお喜び申し上げます。

世間でよく使われている言葉に “情報化時代“とか ”教育ママ“ があります。これは岩波新書の”二十世紀の意味“(ケネス・ポールリング著)の中で脱工業社会、脱文明社会という言葉が見られることから始まっています。 ”脱“ということは変わることが本質であって、変わらないことは本質ではない、もっと解り易い言いかたをすると、旧来のものはこわしたが、新しいものを確立していくという意味をいっています。

時代のうつり変わりと情報について見ると、一万年前に人間は生物・植物の意味を理解し、どのようにすれば子どもを産み育てることができるかを知恵として知りました。ワットの蒸気機関の発明により、農業社会から工業社会へと移って行く時代になりました。また前述したように情報という言葉が最近よく使われていますが、情報を知るためには、本を読むだけでなく、テレビを見たり、毎日の新聞を見たり、人の話を聞いたりすることで、より良く情勢をつかむことができます。

また最近、物の価値をどう見るかというと、物には二つの見かたがあり、一つは「使用価値」と、もう一つは「情報価値」です。この二つによって物の値打ちが決まってきます。昔は使用価値だけを主として考え、いつまでも使えるだけ使いました。今は、情報価値の方がテレビや広告などに依って大きくなって来ています。例えば 美しいデザインとか型などによって、新製品が出ると使える品物であっても買いかえるなどの例がいたるところで見られます。従って、テレビなどの広告による宣伝は、見る人の心を深くとらえている現象の一つといえます。現在の一日の情報量は、徳川時代の一年間の情報量に等しいくらい多量に入ってきます。このような時代で、今までは物を生産する人を育てることには成功したが、良き市民を育てることには失敗した。よき市民を育てるためには本人はもちろんのこと、これを取り巻く人々の善意がお互いの心に触れ合って、立派な社会を造っていこうとする意欲に燃え立たねば不可能です。

真の教育を国全体が考えるような施策を一日も早く樹立すべきです。

全国校園長会会長より
教育変革期と全日中 全国中学校長会 会長 藤崎武利

全国中学校長会 会長 藤崎武利

初めに、全国連合退職校長会が四十周年を迎えられたことに心より敬意を表するものであります。現在、教育改革が次々と進められていますが、これからの時代において、我が国は国際社会の様々な場面で積極的にその役割と責任を果たし、世界から信頼される国となることが求められています。また、「豊かな未来社会」を創るには、今人類が抱えている環境・食糧・人口・財政問題などをよりよく解決し、物質的な豊かさを次世代に受け渡していかなければなりません。

教育においては、「確かな学力」をはぐくむとともに、「心の教育」になお一層力を注ぐことが求められています。今日の青少年の状況は必ずしも良い状況ではありません。善悪の判断、基本的な躾等の指導を徹底するとともに社会体験やボランティア体験等を生かした道徳教育の充実を図り、学校・家庭・地域社会が連携し「心の教育」の更なる推進を図らなければなりません。

また、地方分権が伸展する中、義務教育費国庫負担制度の問題や教員免許更新制度など、教員を取り巻く環境についても議論がなされています。

このような教育変革期において、全国連合退職校長会を始めとする、教育に携われた多くの先人のご功績を継承し、不易な部分と流行の部分を見極め対応する必要があると考えます。これまでの教育の成果と課題を十分に分析し、時代を越えて大切な事柄を守り、変化に対応すべきは果敢に挑戦する気持ちを大切に取り組んでいきたいものです。

全国連合退職校長会の皆様を始め、関係団体と連携を一層深め、意見と情報を発信して行かなければならないと考えています。

高校生とIT機器 全国高等学校長協会 会長 小栗洋

全国高等学校長協会 会長 小栗洋

現在、校長の机上に東京都教育委員会と直接オンライン化されたコンピューター端末が置かれ、時々刻々さまざまな情報や調査項目が送られてきます。便利になった反面、これだけの情報がなければ学校運営が本当に成り立たないのかしらという素朴な疑問も沸いてきます。

大人の世界がこのようですから、世の中の変化に敏感な子どもたちがその変化を先取りするのは当然であり、現に子どもたちは大人顔負けの技術を身につけています。便利であることはたしかに良いことであり、新たな文化を創造する原動力となります。しかし、輝く面があれば必ず影があり、便利さに隠された影の面がクローズアップされる事件が報道されています。

今日のようなデジタル時代には、デジタル機器の習熟や使用マナーを教える教育と同時に、同じぐらいの熱心さで互いの温もりが伝わるようないわばアナログ的な教育を重視していかなければならないのではないでしょうか。この中心になるのは人間関係作りであり、その機会が授業活動の場よりHR活動や部活動、学校行事などの特別教育活動の場でより多く存在する事は経験が教えています。しかし、授業時数確保のためとは言え、学校週五日制などへの各学校の対応が学校行事の精選など特別教育活動の見直しに主として行っている傾向なしとはしません。ここで我々学校管理職が、人間関係力育成の観点から、もう一度このような対応の可否を真摯に考えていかなければならないと考えています。今後とも、家庭の協力も得ながら、この困難な課題を乗り越える努力を続けていきたいと思っています。

特別支援教育の動向 全国特殊学校長会 会長 岸本啓吉

全国特殊学校長会 会長 岸本啓吉

 本年の十月末に、中央教育審議会特別支援教育特別委員会より、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」の中間報告案が出されました。この案は、これからの特別支援教育の方向を示すものであり、特殊教育だけでなく、通常の教育においても大きな影響を与えるものであると考えています。

特別支援教育の理念と基本的な考え方の中で、「特別支援教育の理念と基本的な考え方が普及・定着することは、現在の学校教育が抱えている様々な課題の解決や改革に大いに資すると考えられることなどから、積極的な意義を有するものである」と述べられています。全特長としても、これらの趣旨を十分に踏まえて、活動を進めていく必要があると考えています。

全特長の母体である盲・ろう・養護学校の制度的な見直しについては、障害種別を超えた学校制度(「特別支援学校・仮称」)とすることが適当であるとし、また、障害種別の専門性を確保する視点から、特定の障害への「教育部門」を設けることの有効性を述べながらも、具体的にはできるかぎり設置者に委ねることが適当であるとしています。

特別支援教育における盲・ろう・養護学校の重要な役割として、特別支援学校としての地域のセンター的機能の発揮があります。特に、小・中学校等に在籍する学習障害(LD)やADHD、高機能自閉症等の児童生徒への支援が期待されています。

全国各地の盲・ろう・養護学校では、特別支援学校への転換のための懸命な努力を続けています。全国連合退職校長会の皆様のご理解とご支援を頂きながら、特別支援教育の推進に努めて参りたいと考えています。

全連退情報 「生涯学習の流れを探る」生涯学習推進部長 前田徹