抜粋内容

学習指導要領の改訂について 文部科学省訪問懇談の報告

全国五校種の校園長会会長との連絡会報告(要旨)

文部科学省 銭谷初等中等教育局長との懇談会の報告

学習指導要領の改訂について 文部科学省訪問懇談の報告

教育基本法の改正に伴う法整備に基づき、学習指導要領の改訂が急がれてきた。当初は本年度中に行うという情報もあり、全連退としては、すでに教育課題研究委員会(渋谷 安委員長)において研究協議を進めてきたが、昨年末に文部科学省を訪問、次のような懇談を行った。

・日時 平成18年12月12日 午前10時
・場所 文科省初等中等教育局審議官室
・文科省対応者
 大臣官房審議官 布村幸彦氏  教育課程担当リーダー 上月正博氏
・全連退訪問者 
 土橋荘司会長 廣瀬 久部長
 戸張敦雄総務部長
 渋谷 安教育課題研究委員長
・提出資料
  ①「学習指導要領の改訂について」(意見具申案)
  ②「教育課程の構造を考える」

まず会長挨拶の後、渋谷委員長より提出資料の説明を中心に、意見交換を行った。その主な内容は次の通りである。

◇学習指導要領の改訂について  (意見具申案概略要旨)

学習指導要領は、教育の論理に基づいて作成されるべきである。特に、日本人としての感性や意識の育成と伝統・文化の伝承を明示し、豊かな心や創造性の育成を明確にすべきである。

学習指導要領は、教育課程の拘束性のある基準を示すものとして、基本的な概念と構造を具体的に明確にし、趣旨やねらいと内容の理解が徹底されるように、指導組織の検討とそのための人的配慮・研修が必要である。

具申意見

1 教育課程の構造化
 各教科・領域の構造、学力の構造、評価の観点との構造の具体的な明示。
2 各教科・領域
 現行のものの再検討と再編、基礎学力のための基礎・基本の検討。構造化の視点の明確化。授業時数内で指導し得る学習内容の作成。
3 国語力の育成
 国語力はすべての学習の基。総則の一般方針に明示。日本人の育成の根幹は正しく美しい日本語を身につけさせること。

特に検討が必要な事項

1 総合的な学習の時間
 目標や性格と内容が不明確。実施の実態は様々で問題あり、必修以外の教育活動として授業時数を定めず、学校が独自に実施。

2 小学校の英語
 国語である日本語の学習と各教科の基礎学力の充実が先決で、必修は不要。

3 中学校の選択教科
 義務教育の中学校では、教科はすべて必修として基礎・基本の学習の徹底。
 以上の内容を布村審議官に資料として提出して説明した。

◇布村審議官からの回答と上月氏との懇談

1 教育基本法は、学校教育だけでなく社会教育等も含めてすべての教育についてのものであること。
・学習指導要領の改訂は、早くしたいが、教育基本法の改正にからむ関係法規の改正もあり、不確定事項が多い。

2 前文について
・日本人を育成するという方向は国の考えと一致している。
・学習指導要領の拘束性は、学校教育法にも明記されているし、最高裁の判決もある。

3 教育課程の構造化
・構造化については研究してみたい。
・目指していることは、生きる力、確かな学力、健やかな身体の育成であるが、具体的な手だてが不十分であった。
・基礎・基本については、特に知識・技能について、小学校での漢字や計算など、もう一度より明確化を図り、教科ごとの基礎・基本を具体的に示していこうと思っている。
・学力の「習得型」「活用型」「探求型」の相互関係の構造については、まだ不十分であるので、検討したい。
・小学校では習得に重点をおき、中学校ではそれをいかに活用するか、そのための課題解決への探究に向けた構造化を示していきたい。

4 教科・領域
・中学校の教科は変わらない。
・授業時数は、具体的な議論にはなっていないが、国語・理数で増加を検討している。
・5日制による限界があることは理解しているが、堅持する。6日制をしているのは韓国・イタリアだけぐらいではないか。土曜日の有効活用はできないか。

5 国語力の育成
・教育課程全体でとりくむことで、教育活動の全体を通して重視していく。
・自ら学び・考える力として、文章をA4、1枚に書けるようにしたい。

6 総合的な学習の時間
・内容のテーマを具体的に明確化していくことである。
・課題解決のための自ら調べる探求の学習に。

7 小学校の英語
・5・6年生でコミニケーションに重点を置いての学習で、必ずしも必修とは考えてはいない、領域に位置づけている。
・一定の水準を国で示したい。
・現在、総合的な学習の時間で国際理解の学習として、平均13.7時間行われているが、バラつきは大きい。
・大臣の反対の発言もあり、どう扱うかを考えなければならない。
・中学校の英語の学習とは関連させない。

8 中学校の選択教科
・現行の学習指導要領で大きく増やしたが、個性・能力を伸ばすことがねらいである。
・位置づけを変えることを考えている。実態からは変えざるを得ないかもしれないが、現場とは乖離しないように考えねばならない。

全国五校種の校園長会会長との連絡会報告(要旨) 

◇平成19年1月13日(土)正午~午後3時
◇全連退会議室
◇出席者 *都合で欠席・資料
 全国国公立幼稚園長会 *齋藤美代子 会長
 全国連合小学校長会池田 芳和 調査研究部長
 全日本中学校長会高橋 秀美 会長
 全国高等学校長協会島宮 道男 会長
 全国特殊学校長会神尾 裕治 会長
 全国連合退職校長会土橋 荘司 会長
 同 各部長、委員長、事務局長他  
  司会  広瀬  久 部長

1.あいさつ 土橋荘司会長
 寒い中、有難うございました。
 本日は皆さんのお話を聞き日本の学校教育の実体をつかみたい。
 戦後六十年、世の中は変わった。昔の社会には皆で良くしようという思考が働いていた。今は無い。いじめ等の問題解決には子供を中心にした話が大切だ。子供が持つ力強さを認め、先生と子供とがしっかり結ばれ、社会は先生を大切にし、先生が自ら教育の責任をとることだ。先生はセンシビリティを発揮して欲しい。

2.出席者の紹介

3.全連退の活動概要の報告 (総務部長より)
◇戸張総務部長より説明
○校園長先生方を支援する。
○教育基本法、関係諸法令の改定、学習指導要領の改訂に合わせ文科省へ意見具申。
○高校問題研究委員会の設置。
○会旗制定委員会の設置。
○三月「子どもたちに慕われ信頼される先生」出版。
○平成十九年度から講演会、研修会等の事業を開始。
○「教育の日」の制定状況、退職校園長会加入状況の説明。校園長会の力添えを期待する。

4.校園長会の活動課題の重点

◇国公幼(資料抜粋)
○市町村合併に伴う統廃合が進む地方があり組織強化に取組む。
「認定こども園」「幼保を一体的に運営する園」等の課題に対応。幼稚園教育130年の蓄積を活かし幼児教育におけるリーダーシップの発揮。

◇全連小
○スローガン「力を高め自信と誇りを育む校長会」のもとに、教育再生会議、中教審の動向を見ながら活動をすすめる。
○子供の安全を守る問題、いじめ等人権上の問題への取組み。
○改正教育基本法成立の対応で特別委員会設置。教育振興基本計画、学習指導要領への提言。
○人事考課制度の充実。
○特別支援教育は95%が整備、財源確保の行政への働きかけ。
○2007年問題、大量退職と大量採用。教員の資質の高揚。

◇全日中
○運営方針
(1) 教育基本法改正の内実を高める。(2)関係諸機関との連携。(3) 国民の信託に応える。
○中学校教育60周年記念東京大会を平成19年10月に行う。築いた基盤の上に、教育改革を推進し当面する課題に対応。
○活動の重点
(1)行動する全日中文科省などへ意見表明を積極的に行う。
(2)確かな学力の定着、健やかな体を育てる。
(3)教育課程編成に自主性、自立性を。必要な教育内容、授業時数確保。教育効果を高める。
○学力調査の教職員の負担、公表方法等、配慮事項に意見表明。予備調査実施後再度意見表明をする。
○部活動の学習指導要領への位置づけを要望。
○学校評価に試行調査の結果を見て、正当な評価実現のため意見表明。
○教職員の定数等の要望。特別支援教育の人的措置要望。施設整備耐震構造化への予算措置。
○勤務実体を把握した待遇改善。
○教員免許更新制度の問題。

◇全高長
○中学生の殆どが高校に入学。学習意欲・学力差の開き大きい。
○家庭状況により経済力の差が拡大。授業料減免免除の家庭が増。
○進路決定を先延ばしで普通科入学の傾向が増加。
○入学生徒多様化で、高校は進学中心の者、楽しい高校生活を求める者、両者取入れの者等、多様。進学校の未履修問題。
○学校週6日制の私立校と公立校の格差が未履修問題に直結。学校5日制が課題、補習授業等で補う学校が多い。
○高校の社会的評価は大学進学実績が風潮。高校の使命は大学進学ではない。
○学習指導要領の大網化を要望。
○学習指導要領の必履修科目の指定をはずす。学校週5日制の弾力的運用を要望。
○教職員の給料表複線化を要望。

◇全特長
○特別支援教育の推進が18年度大きな課題だった。学校教育法、教育職員免許法等の改正で19年4月から特別支援学校教諭免許状創設。盲聾養護学校は特別支援学校に一本化し、幼小中高等学校等の障害のある児童生徒への教育支援と適切な教育。
○中教審で特別支援教育の教育課程の基準の改定検討。文科省は学校施設整備指針の改定検討。
○教育支援計画実施状況を調査し、課題解決を文科省に要望。「個別の教育支援計画の実際」刊行。
○法律改正に伴い、全国特別支援学校長会に名称変更と組織改編をする。「小中学校における個別の教育支援計画の手引き」の刊行で支援機能を果す。
○19年度から特別支援教育へ移行。幼小中高校も含めて障害のある子の教育の充実が責務。

意見交換(現役○全連退□)
□学力のつかない児童も昇級する義務教育や特殊教育とは何なのか。どんな考えに立つ教育か。
○高校生の学力レベルは低下した、教育再生会議が要求する適格者主義、習得主義では、高校生の半分以上は卒業出来ない。
○小から到達目標を明確にしてクリアしないと卒業出来ないとしなければ、課題積残しで高校の抱える問題に繋がってしまう。
○学習指導要領最低基準は中学校でも厳しい。特別支援教育開始で様々な子供たちが通常の学校で学ぶ。最低基準を総ての子に求めるのか。子供達は全部違う。
○盲聾養護学校は特別支援学校になり、小中学校の子供たちは特別支援学校と連携し充実させる。
○障害に応じ基礎基本を教えるため、人の配置・施設設備の充実。
○家庭状況と関り、虐待や養育放棄等困難な課題を抱える子供増加。学習意欲を持たせることが重要。
○学力調査が高校卒業資格認定試験として、第二センター試験の形で入る可能性がある。
□高校の悩みは大学の悩みだ。下から積み上げないで文科省は新しいものを出す。それでは解決にならない。
○学習指導要領の教科等の構成で総合的な学習と選択のウエイトが重い。全員が学ぶ必修教科を大切にして欲しい。
○中学校で進路指導の努力は積極的にしている。
□中で部活動を必修にすることは問題。指導教員の手当て等の必要な配慮は全連退も要求する。
○部活動の現状を認めて欲しい。
□教員の給与は、現役の皆さんと一緒に全連退も要請する。
○先生が免許を持たずに授業している高校の教科は整理し、少単位教科は無くす必要がある。

5.終わりに 戸張敦雄総務部長
・義務教育費全額国庫負担、学校週6日制は我々の意見だ。
・未履修問題から発した高校問題。高校教育の在り方が学校教育法に明確にされる必要がある。
・学習指導要領の小学校の英語教育、総合的な学習、中学校の選択教科、部活動の取扱等の意見を受け全連退も検討する。
・学校教育推進上、教員数、勤務時間、給与の問題は大きい。特殊支援教育のコーディネーターの充実、教員が自主研修に参加するゆとりは大切。給与表の複線化の方向は、主幹職設置の自治体に出てきた。
・今日お伺いした問題をよく咀嚼して、中央省庁、中教審、教育再生会議に意見具申する。

(文責 事務局長 徳永裕人)

文部科学省 銭谷初等中等教育局長との懇談会の報告

文部科学省 銭谷初等中等教育局長との懇談会の報告  

1.日 時
  平成19年1月18日(木)、午後1時より2時30分。

2.会 場
  三菱ビル会議室(文科省ビル隣り)。

3.出席者
○文部科学省 
 銭谷眞美初等中等教育局長、大金伸光初中局教育企画課中学校連絡調整官
○全連退 
 土橋荘司会長、各部長、各委員長、事務局長、事務局職員、計13名。

4.懇談会の概要
 司会 全連退 廣瀬 久部長

①全連退 土橋会長あいさつ

・いつもお世話になっていますことをお礼申しあげ、本年もよろしくお願いたします。
・社会も変化し、教育の進み方も、速い時代になりましたので、次々と追いかけながら教育の実をあげていくわけです。それにつけても情報の把握や解釈になると、本日の会は重要な会でありまして、時間をさいて戴き、本当に有難く思っております。
・私達のためにも、また国の教育のためにもご尽力いただく事を心からお願いして挨拶に替えたいと思います。

②銭谷初中局長のお話

本日はこのような機会を設けていただき、ありがとうございました。大先輩の先生方の前でお話するのは大変緊張いたしますが、本日は、最近の学校教育の状況について説明させていただきます。

まず、改正教育基本法について説明させていただきます。

改正教育基本法は昨年12月15日可決・成立し、22日に公布・施行されました。

改正教育基本法は4章、18条で構成されております。第1章(第1条~第4条)は、「教育の目的及び理念」について規定されています。第2章(第5条~第15条)は、義務教育(第5条)、学校教育(第6条)、大学(第7条)、私立大学(第8条)、教員(第9条)、家庭教育(第10条)、幼児期の教育(第11条)、社会教育(第12条)、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力(第13条)、政治教育(第14条)、宗教教育(第15条)といった「教育の実施に関する基本」に関する事項が規定されています。第3章(第16条~第17条)は、教育行政(第16条)や教育振興基本計画(第17条)といった「教育行政」に関する事項が規定されております。第4章(第18条)は「法令の制定」について規定されています。

政府は、平成12年の教育改革国民会議の報告を受け、中央教育審議会や与党における議論を踏まえ、平成18年4月28日、教育基本法案を先の通常国会に提出いたしました。

衆議院では特別委員会が設置され、49時間にも及ぶ議論がなされましたが、通常国会は閉会となり、臨時国会へと継続されることとなりました。秋の臨時国会で衆議院の審議が再開され、通常国会を上回る約55時間の質疑が行われた末に可決されました。参議院に設置された特別委員会においても85時間を超える審議が行われましたので、衆・参併せて約189時間もの審議を経て成立したことになります。

改正教育基本法の特徴の一つとして、第2条で「教育の目標」が規定されたことがあります。改正前の教育基本法は、教育の「目的」や「方針」という教育上の基本理念を定める条文があり、「真理と正義」「勤労と責任」「自他の敬愛と協力」など、今日でも妥当する理念が掲げられていましたが、制定から半世紀以上を経ていることから、現在及び将来の教育を展望して再検討し、改正前の教育基本法の普遍的な理念は今後とも大切にしながら、今日極めて重要と考えられる理念等を明確にするため、見直すこととしたものです。

改正教育基本法では、まず、「教育の目的」については、今日にも妥当する教育の根本的な目的であることから、第1条において「人格の完成を目指すこと」、「心身ともに健康な国民を育成すること」を引き続き掲げております。そして、第2条において、「教育の目的」を実現するため、より具体化した事柄を「教育の目標」として整理しました。「真理と正義」、「勤労と責任」など改正前の基本法では第1条に規定されている国民が備えるべき事柄や、改正前の基本法では第2条の「教育の方針」に規定されている「自他の敬愛と協力」など、普遍的な事柄については引き続き規定するとともに、あわせて、今日新たに必要と思われる事柄を追加しています。

具体的には、第2条第1号において、教育全体を通じて基礎をなすものとして、「知識」の習得や「豊かな情操」と「道徳心」の涵養、健やかな「身体」の育成などを新たに規定しています。第2条第2号では、主として個々人自身に係るものを規定しています。具体的には、個人の価値を尊重して、その能力や創造性を培うこと、自律の精神などを規定するとともに、フリーターやニートが社会問題化していることにかんがみ、みずから進んで働く精神に充ちた人間の育成を目指し、「勤労を重んずる態度を養うこと」を掲げています。第2条第3号では、主として社会との関わりに係るものとして、従来より規定されていた「正義」や「責任」などに加え、新たに「男女の平等」や前文でも触れた「公共の精神」などを規定しています。第2条第4号では、主として自然や環境との関わりに係るものとして、「生命を尊重する態度」や「環境の保全に寄与する態度」などを規定しています。第2条第5号では、主として日本人としての資質及び国際社会との関わりに係るものとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と規定しています。

この他にも、改正教育基本法においては、新しい事項が規定されております。

例えば、第3条においては、学校教育、社会教育等を通じ、誰もが生涯にわたって、あらゆる機会にあらゆる場所において学習でき、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られるべきであるという「生涯学習の理念」を、教育に関する基本的な理念として規定しております。

また、改正前の基本法では、義務教育の年限が9年と規定されておりましたが、改正教育基本法では、「別に法律で定める」こととなりました。社会の変化等を踏まえ、義務教育に求められる内容も変化しており、先生方もご承知のように、義務教育の年限の延長も検討課題の一つとして指摘されているところであります。そうした状況の中で、義務教育の年限は、教育の基本原則として教育基本法に規定するよりも、むしろ時代の要請に迅速・柔軟に対応することができるように学校教育法に規定することが適当ではないかと考えられ、9年の年限を削除したものであります。

また、第6条第2項では、「~学校においては、~教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」旨が新たに規定されました。子どもが規律を重んじることや、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることといった、学校教育を進める上での心構えのようなことも規定されたところであります。

第7条で「大学」、第8条で「私立学校」の規定が新設されたことも大きなことであると思います。

「教員」については、改正前の基本法では第6条第2項で規定されておりましたが、改正教育基本法では、第9条において独立した条文として規定され、教員が「崇高な」使命を深く自覚しなければならないこと、「絶えず研究と修養」に励まなければならないこと、「養成と研修の充実が図られなければならない」ことが新たに盛り込まれました。重要な仕事をする教員について、こうした独立の条文が設けられたことは、教員を大切にしようという改正教育基本法の考え方が現れていると考えます。

第10条の「家庭教育」、第11条の「幼児期の教育」、第13条の「学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力」も新たに設けられた条文です。

第16条の「教育行政」では、国、地方公共団体それぞれの責務や、教育の円滑かつ継続的な実施のために必要な財政上の措置を講じなければならないことについて、新たに規定されております。

第17条では、「教育振興基本計画」についての規定が新たに設けられました。改正教育基本法により明確にされた新しい教育の目的や理念をさらに具体化する施策を総合的、体系的に位置づけ、実施することが必要であることから、第17条において、教育振興基本計画の根拠となる条文を設けることとしたものです。教育振興基本計画は、国会に報告するとともに、公表することが求められております。

簡単ではありますが、改正教育基本法のポイントを説明させていただきました。これからやらなければならないことは、改正教育基本法の理念を実現するために、個別の法律の見直しを行っていくことです。改正教育基本法に基づき、まずは、以下のような関係三法律の改正を行う必要があると考えております。

第一に、教育職員免許法の改正です。改正教育基本法が教員の使命と職責の重要性をうたっていることを踏まえ、教員が時代にあった資質や能力を備えるようにするための、教員免許更新制を導入しようとするものです。

第二に、学校教育法の改正です。伝統と文化を尊重する態度を養うことなど、改正教育基本法により明確となった教育の目的・目標を各学校で実現するための教育目標の見直しを行い、学習指導要領の改訂につながるようにするものです。また、学校の責任体制の確立を図ろうとするものです。

第三に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正です。改正教育基本法の教育行政に係る規定を受け、教育に対する責任の所在を明確にし、国民から信頼される教育行政の体制を構築しようとするものです。

以上、改正教育基本法について説明させていただきましたが、このほか、学校教育をめぐる最近の事柄について、いくつか言及させていただきます。

まず、「いじめ」の問題についてです。最近、いじめの問題や、いじめを理由にした自殺の問題が大きく社会問題化しています。

この問題について、文部科学省が、教育委員会や学校に強くお願いしているのは、「いじめはどの子どもにもどの学校でも起こり得るものである」、「いじめの問題が生じたときは、その問題を隠さず、学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していく必要がある」ということです。いじめの問題に対し早期発見・早期対応に努めれば、いじめの発生件数は増えていくものですが、「増えることは学校として恥ずべきことではない、むしろ、取組が徹底されている結果である」ということを強調し、いじめが生じた際には事実を隠蔽するような対応をすることなく、正確な情報提供を行うことにより、保護者の信頼を確保し、地域・家庭と連携して対応していただくよう、お願いをしてます。

いじめ問題への対策として、子どもや保護者がいつでも相談機関に相談できるよう、都道府県及び指定都市教育委員会が行っている相談体制を拡充し、夜間・休日も含めて24時間対応とするための経費について、18年度補正予算案や19年度予算案において盛り込んでおります。また、省内に設置された「子どもを守り育てる体制づくり推進本部」や有識者会議では、いじめ問題に対する今後推進するべき効果的な施策の在り方のとりまとめに向けた議論を行っています。

昨年は、高等学校における必履修科目の未履修の問題もございました。昨年10月下旬、各地の高等学校において卒業に必要な必履修科目を生徒に履修させていないなど、学習指導要領に反する事例が判明しました。10月24日に未履修の問題が判明し、翌25日には実態調査を行いました。11月2日及び8日には、生徒の卒業認定が困難になっている状況を踏まえ、この問題に関する処理方針をまとめた通知を教育委員会等に発出しました。

また、この問題の原因を探るために、未履修という不適切な事態がいつから始まったのかを把握する「開始年度に関する調査」を実施しました。さらに、「中学校の必修教科取扱に関する調査」も現在取りまとめを行っております。

この問題については、私立学校も含め、公教育に対する信頼を著しく損ねるものであったと考えています。文部科学省としては、本件についての原因究明や教育課程の編成実施についてのチェック体制の見直しなどを行いつつ、さらに、高等学校の必履修科目の在り方などの課題に取り組むこととしております。

最後に、昨年10月に設置された教育再生会議について、若干触れさせていただきます。教育再生会議は、21世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、教育の再生を図っていくため、教育の基本にさかのぼった改革を推進する必要があることから、閣議決定により内閣に設置された会議です。会議は、内閣総理大臣、内閣官房長官及び文部科学大臣と17人の有識者により構成されており、現在、「第一次報告」に向けた検討が進められています。教育の問題は、学校教育のみならず、家庭の在り方、地域社会や企業の在り方などが関わるため、教育再生会議では、広い視野から教育再生のための実効ある方策が議論されることが期待されています。教育再生会議で結論が得られたもので、文部科学省の所管する事項について、すぐに施策として実行に移すものもあれば、制度改正の必要な事項については、中央教育審議会で具体的な実施方策について更に検討を要するものもあるのではないかと考えております。

【質問等】
問 今後の学習指導要領の改訂に当たり、授業時数の見直しについて、どのように考えているのか。
答 授業時数の見直しについては、現在、中央教育審議会の教育課程部会で大きな議論になっています。教育課程部会では、学校週五日制については、維持すべきという意見が大勢ですが、例えば、各学校における教育活動の創意工夫により、効果的な学習指導ができるよう、弾力的な運用等について検討する必要があるという意見や、朝の10分間などを活用して行われている読書活動、音読、計算のドリル学習といった標準授業時数の枠を超えた学習活動について、国の基準上の取扱について検討する必要があるという意見、特に小学校低学年については、在校時間や授業時数の在り方を検討する必要があるという意見などが出されております。

問 高等学校における必履修科目の未履修の問題について、我々としても対応策を検討しているところであるが、文部科学省として、今後、高等学校の必履修科目をどうするのか、また、これからの高等学校の在り方についてどう考えているのか。
答 今回の未履修問題については、高校教育が大学入試への対応に偏していたことなどが背景としてあると思います。今後、未履修問題の原因についてよく分析し、高校生に必要な幅広い知識と教養とは何かという観点から、高校教育の在り方などを検討する必要があると考えております。

問 いじめの問題に関連して、命をなくすということに対しての対策が重要と思うが、そうしたことについて、どのような対策を考えているのか。
 また、高等学校における必履修科目の未履修の問題について、入学試験の内容をしっかりと研究する必要があると考えるが、いかがか。
答 統計的に見ると、近年、子どもの自殺の件数が増加しているという訳ではありませんが、ある調査では、「死んだ人が生き返ると思うか」という問に「はい」と答える児童生徒が約15%いるという結果が出ており、子どもが死ぬことの意味を理解しているのか、命というものは軽いものだという意識があるのではないかと、危惧しているところです。
 また、未履修の関連でご指摘いただいた視点は重要であると考えており、大学入試の在り方を見据えた、高等学校教育について検討していく必要があると考えています。

③おわりのことば   全連退 戸張敦夫総務部長
本日は、お立場上、非常にお忙しい時期で、国会の準備等もあるところを、本会のために時間をさいて戴き、誠に有難うございました。

また、教育基本法の改正を踏まえた法律の改正に関わる方向性についてもご示唆をいただき、今後全連退として意見をまとめ、公に要望したり、意見具申をする際の基になるところをご教示いただき、厚くお礼を申しあげます。

本当に本日は、お忙しい所を有難うございました。