全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報        平成22年4月9日  第84号 
「教員の資質向上の在り方に関する意見」 を提出しました

平成22年3月26日、文部科学大臣宛、標記の件について意見を提出しました。提出した意見は、A版4頁にわたりますので、本号ではその概要を報告します。( 内容が多く、かつ、多岐にわたりっていますので、文字が小さくなりました。ご容赦ください。)

 平成22年3月26日

文部科学大臣                            
   川 端 達 夫 様

全国連合退職校長会
会長 広 瀬  久


教員の資質向上の在り方に関する意見

全国連合退職校長会(略称 全連退)は、各都道府県退職校長会長の意見を基に、下記により<提案・意見> を提案いたします。これからの文部科学省の政務三役による見直し、検討に反映していただくようお願いいたします。

I、教員に求められる資質能力について

<提案・意見 1>

教員の資質能力とは、一般に、「専門的職業である『教職』に対する愛着、誇り、一体感に支えられた知識、技能等の総体」 であり、「素質」とは区別され、後天的に形成可能なものと解されています。この基本的な資質能力については、これまでの各種審議会答申に述べられている通りで、特に加除するものはないと思料します。
○臨時教育審議会 第一次答申(昭和60年6月) 
○中央教育審議会 答申 (昭和62年12月 昭和17年10月) 
○教育職員養成審議会 第1次答申(平成9年7月) 第四次答申(平成11年12月10日)
「幼児・児童・生徒に対する教育愛・使命感・情熱・理解」「教科等に関する専門的知識」「豊かな教養」
「実践的な指導技術」「総合的な人間力」 等であります。

<提案・意見 2>

教員の質の向上は、養成・採用・現職の各段階における改善を総合的に進めることが肝要です。そのためには、まず、教員の地位をいっそう高め、処遇の安定を図ることが大切です。

1、教員の養成段階について
教員養成のためのカリキュラム(シラバスを含む)の内容等について、3件提案いたします。
(1)「感動(感激)のないところに、教育はない」と言われます。教員養成のカリキュラムの中に、学生が感動(感激)を実感する内容を組み込むことを提案します。
(2)カリキュラムの編成にあたって、「教職に就く自覚や、意識(忍耐力、体力、気力等を含む)」を育てる、充実した実効のある内容を組み込むことを提案します。
(3)教員養成に不可欠な「教育実習」については、<意見・提案3>で提案します。
2、教員の採用段階について
教員の採用に付いて、下記、4件を提案します。
(1)採用に当たっては、多面的な人物評価を積極的に行う選考が必要です。
ア、新規学卒者の採用選考 : 学力試験を行う。教育実習、ボランティア活動等の実績等を選考基準に加えること。
イ、教職経験者、民間企業等の勤務実績を有する者の採用選考の方法や評価基準を工夫すること。
ウ、実技試験の充実及び資格試験等の活用を図ること。(リスニング、スピ-チ、TOEIC、簿記検定、情報技術等)
(2)条件付採用制度(仮免許、仮採用、インタ-ン制度等を含む)の構築を図ること。
(3)総合的な人物評価に、集団面接の在り方等の工夫をすること。
(4)障害を有する受験者への配慮をすること。
3、現職段階について  
このことについては、「IV、教職員の資質向上の在り方について」に提案します。

II、教員免許制度の果たすべき役割について

<提案・意見 3>

1、教員免許更新制について
施行後の検証が必要です。受講者の経済的負担、「費用対効果」等の観点から、制度の廃止は止むを得ないと考えます。
2、教員免許制度の抜本的見直しについて
6年制構想とともに、教員免許の授与に関する制度を見直すことを提案します。
(1)いわゆる6年制構想の疑問点に付いて、慎重に議論すること。
(2)6年制構想を、4+2と、固定的に考えず、4+αと、弾力的に考えて結論を求めること。
(3)国が、教員を教育の専門職として社会的な地位を認める証左として、国家試験に合格した者に教員免許を授与する制度の構築を提案します。このことは、教職に就くことへの自覚、責任感さらに矜持を持って自らの資質向上に不断の努力をしていく原動力になるものと思料します。
(4)教育実習は、実習の期間とともに、その内容と指導教員の指導力が重要です。これら教育実習の在り方や、長期にわたる教育実習を委託された学校の負担軽減策等について、慎重な議論を重ね制度の構築を図ること。

III、大学の教員養成課程の在り方について

<提案・意見 4>

1、大学の教職課程を担当する教員の質を厳しく見直す必要があります。
初等中等教育の教職経験が乏しく、もしくは、その経験のない教員が教職課程の講義等を担当している場合は、その実態に応じ適切な善処方を期待します。
2、大学の教員養成課程を6年制(修士)とすることは、慎重に議論をする必要があります。
実践的指導力、なかんずく、教育実習的内容を大幅に増やすことをカリキュラムに取り入れ、いわゆる「6年制」に制度を変えることは一理あると思料します。このことは、教員の社会的地位の向上にも益することでもあります。「6年制」への制度変更により、学生や保護者の経済的負担増が懸念されます。教職志望学生への「給費制度」の検討を期待します。

IV、現職教員の資質向上の在り方について

教員が自らの資質能力の向上を図るため、何より日々の職務に傾注し,さまざまな力量を身に着け、職務を遂行していくことが肝要です。その間、自発的・自主的な研修意欲から発した研修への参加姿勢や教職経験に応じた研修への参加意欲等が生じてきます。「研修」の重要性に鑑み、奨励・支援の体制を整備することを提案します。

<提案・意見 5>

(1)初任者研修について
初任者研修は、採用から3年間を目途として行われのことが望ましいと考えます。この期間の研修が教員としての将来に極めて大きな影響を与えるからです。この期間の研修に,次の2件を組み込むことを提案します。
① 円滑に職務を遂行する能力を身につけるため、OJTやOFFJTを取り入れた3年間を目途とした体系的研修計画。
② 初任者研修への参加を容易にする条件整備。
(2)教職経験者研修(10年経験者研修等)<現職研修>について
当面する教育課題に適切に対処し、時代の求める学校教育を実現する上で必要な資質能力の向上を図る内容に精選した研修とする。
そのため、選択制の導入、参加型の研修、長期派遣型研修、社会体験型研修等の充実も期待します。
(3)管理職研修について
これからの学校教育や学校経営の在り方の理解に加えて、一般に組織体の経営に必要とされる専門的知識や教養を身につけ、学校事務を含め総合的なマネジメント能力を高めることができる管理職研修カリキュラムの開発を行うと共に、他部局,他校種、異業種間の管理職との合同研修を行うなど、研修の内容・方法を見直すことを提案します。
(4)研修実施者は、研修を受けた教員の評価を適切に行うとともに、処遇等に反映する方策を設けることを提案します。 

<提案・意見 6>

(1)教員の資質向上に資する大学の役割に付いて
幼児・児童・生徒の指導に長い経験を有し、学校の現状を的確に把握している現職教員や退職校長等を、大学の常勤や非常勤の教員として積極的に受け入れることが可能となるような人事交流の在り方の検討を提案します。
また、大学において夏期集中講座の開設と研修受け入れや、学校や教員の抱える今日的課題に応える相談体制の整備等を一層すすめ、その実現を図ることを提案します。


おわりに

新政権の教育政策が、一部、教職員団体の政策提言にSympathyをもって対応することが推測されますが、かかることのないよう要望します。