全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報         平成20年3月21日  第59号
 「幼稚園教育要領及び小学校・中学校学習指導要領案」 に対する意見を提出しました
 平成20年2月中旬に、文科省より新学習指導要領案が示されました。

全連退としても、急遽この案について、会長を中心に総務部で検討し、部長会、常任理事会にも諮って、意見・要望をとりまとめ、文科省初中局教育課程課宛提出しました。

提出した全文を掲載します。

 平成20年3月21日

初等中等教育局                      
教育課程課教育課程企画室長 様

全国連合退職校長会
                               会長 土 橋 荘 司

             
幼稚園教育要領及び小学校・中学校学習指導要領案に対する意見

平成20年度改訂の学習指導要領は、従前の改訂とは異なり、改正教育基本法・改正学校教育法の基本理念を受けたもので特に重要な意味を持つ改訂であります。ここに、全連退として下記の通り意見・要望を申し述べます。

1.総括的な意見

(1) 各教科、道徳、特別活動等の指導を通して、わが国と郷土を愛する心、伝統と文化の尊重、公共の精神と道徳心などが強調されたことは高く評価できる。 「生きる力」の理念と深く関わる「豊かな情操と創造性の育成」についても、第1章 総則 第1 教育課程編成の一般方針の中に明確に述べられたい。       

(2) 学校教育法第30条第二項②に規定された「生きる力」を支える学力の要素の周知徹底と、修得原理による学力保障の実現を期することのできる改訂を図られたい。

(3) 道徳教育に関する改訂の趣旨が徹底し、実績の上がる施策を講じること。そのためには、道徳の時間に使用する教材(副読本)を精選し、全児童・生徒に無償配布できるようにすること、道徳教育推進教師の資質向上を図り、単に全体計画及び年間指導計画の作成者ではなく、「道徳の時間」の実施上の推進者として指導体制の充実を図られたい。

(4) 家族関係の崩壊は社会の衰退と混乱に通ずるものがある。教育活動の基本である学習指導要領において、「家族を持つことの良さ」「家族の価値」「家庭・家族の絆」など、しっかりした家族モデルを示し、その重要性を認識し、少子高齢化などの社会問題や生涯という人生設計の中で、今どう生きるかを学ばせる必要がある。

(5) 章として新たに設けられた「総合的な活動の時間」等の目標、指導計画の作成と内容の取扱い、配慮事項に「探究」という表現が多用されているが、その意味合いを明確にされたい。

2.教科、領域等についての意見

(1) 基礎的・基本的事項の「重点指導事項例」
基礎的・基本的な知識・技能の習得に関する例示とともに、思考力・判断力・表現力等に関わるものについて例示し、その構造化を明示されたい。

(2) 身近な学習素材の活用
各教科、道徳、総合的な学習の時間等の指導に当たっては、子どもにとって学習を身近なものにし、活用力育成のためにも、地域素材の教材化に一層配慮する必要がある。

(3) 言語活動の充実
国語科での言語能力の育成とともに、各教科においても知識、技能、思考・判断・表現力の育成と結びつけて、言語活動を指導計画に位置づけ指導の一貫性を図り、子どもたちの全生活の中での指導が肝心である。

(4) 理数教育の充実
科学的思考力を高める重要なポイントは「観察」「実験」の位置づけであり、それらを重視した内容構成が必要である。
また、社会生活で数学の果たす役割を理解させたり、数学的な考え方や思考力を育成するような内容を多く取り入れる必要がある。

(5) 教科書内容の充実
学習指導要領に基づく教科書が、各教科の目標・内容、学力の習得・活用・探究の構造等に配慮して作成され、児童・生徒の学習に対する興味・関心を高め、意欲を喚起する記述内容であることを要望する。

3.新学習指導要領の完全実施までの期間に、国として教育条件の整備が不可欠である。
  下記事項について要望する。

(1) 行革推進法との関連を図りながらも教職員定数の改善計画(第8次教職員定数改善計画等)を強力に推進し、「各学校への道徳教育推進教師の配置」「各地方教育委員会(市町村教育委員会を含む)に道徳教育担当指導主事の配置」など、道徳教育の充実に実効ある施策を講じられたい。

(2) 学級担任制(全科)のもとでの小学校の外国語活動の導入は、教師の負担が過重になる。また、各学校や教室おける指導内容にかなりの濃淡が生ずる恐れがある。
そのため外国語活動専任講師の配置を早急に実施されたい。

(3) 中学校の体育で必修となる武道が確実に定着するよう、各学校の用具や施設設備の条件整備を早急に実施されたい。

(4) 中学校部活動が学校教育の一環として、第1章総則に位置づけられたことは評価できる。部活動の各学校における教育活動上での位置づけを明確にされたい。

(5) 障害のある児童・生徒に対する特別支援教育の充実のため、コ-ディネ-タ-や支援員の配置を促進し、適切な指導及び必要な支援を実施されたい。

(6) 各学校が新学習指導要領の理念・内容を十分理解し、その具現化を図ることができるよう、文科省主催による伝達講習や研修会をより多く開催されたい。