全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報        平成19年10月25日  第55号
教育再生会議の「第三次報告に向けての検討会議」に関する意見を提出しました
教育再生会議は現在、本年12月を目途に、第三次報告に向けて諸課題の検討を行っております。予想される検討課題に対し、会長を中心に総務部で検討し、部長会にも諮って、全連退としての通り意見を取りまとめ教育再生会議座長宛提出しました。
  その全文を掲載します。

     
 平成 19 年 10月2日

教育再生会議
座長 野 依 良 治 様

全国連合退職校長会
会長 土 橋 荘 司

「第三次報告に向けての検討課題」に関する意見

委員各位の間断のない検討協議のご尽力に対し敬意を表します。
貴会議の第三次報告に向けての検討課題について、意見を申し述べます。
今後の審議等に生かしてくださることを要望します。

はじめに

教育は人材に対する先行投資であります。教育により培われた人間の潜在能力は目に見えない形で蓄積され、その付加価値は将来において顕在化し、国家社会を益する力として大きく貢献するものであります。人材育成には教育の論理で応え、財政基盤の確実な担保に全力を傾注されることを貴会議に強く期待いたします。
以下、5項目について意見を述べ要望いたします。

1.教育バウチャ-制度について
義務教育段階でのバウチャ-制度の導入は不適当である。
●教育の機会均等や水準維持を旨とする公立学校間に序列が生じ、問題が多発する可能性がある。
・保護者の選択によっては、定員過剰校が生じる可能性がある。学校選択が拡大するにつれ、いきおい手のかかる子どもは他校に回されかねない、との懸念が払拭できない。
・子どもに無用の劣等感や優越感を生じさせる可能性がある。
●「地域の学校」という意識が希薄になり、学校と地域の連携・協力の面で地域教育基盤の機能が低下する。義務教育学校は本来、保護者や子どもたちが積極的に学校づくりに関わる主体であり、単なる消費者的な存在ではない。
●学校における人間教育は専門性の高いものであり、義務教育段階の子どもや保護者が評価することは難しい。
・教育の質の良し悪しは専門家でなければ判断できない要素が多い。
・効果の見えにくいものは軽視され、いきおい学力テストの得点や有名校への進学者数等が注目されがちになり、学校教育に歪みが生ずる可能性がある。
●保護者の学校選択に対する理解や関心の差が子どもの教育の格差となって現れる惧れがある。
●いわゆるモンスタ-ペアレントの増加は学校選択制の拡大など、市場原理の導入による保護者の権利意識の変化もその要因の一つと考えられる。


2.子供の教育と成長発達を保障する体制の在り方について
●教育の原点は家庭にあり、親は人生最初の教師であることの責任を深く自覚する施策が肝要である。親が育つことによって子どもも育つ。「親として教育の第一義的責任を負うことの重さを自覚させる学習」、を乳幼児健診の折などに何らかの形で義務付ける。


3.教員養成、教員採用など教員の資質向上について
●教員免許状の信頼性を高め、教員の質を保証する観点から、教員免許は必要単位を取得したのち、国家試験に合格した者に授与する仕組の構築こそ喫緊の課題である。
●教員養成のための専門職大学院を設置して、実践力の優れた教員を養成し、今後の学校教育の中核を担う人材を生み出す方策を検討すると共に、特に小・中学校教員養成については教育実習や児童生徒理解の機会を増やすなどの工夫をし、その実現に向けての筋道を確立することが重要である。


4.育児支援や幼児教育の在り方について
●女性の社会進出や家庭・地域社会の子育て環境の変化、幼児教育・保育の多様な期待等に対応するため、「認定子ども園」を充実・拡大し、就学前の子どもに関する教育・保育の総合的な推進を図る方策を示すことが重要である。
● 急速な少子化進行への対策として、また幼児教育の重要性に鑑みて、就学前の教育・保育の無償化に関する有効な提言や、産科、小児科医師の増員、救急医療策の充実等、緊急に解決すべく課題に対しても省庁を超えての施策の推進が必要である.

5.大学入試の抜本的改革について
●昨今、センタ-試験の結果を乱用し、大学合格者の延べ数を進学者の実績と見せ掛けるなど、いわば「不当表示」ともとれる事態を生じている。センタ-試験の在り方について再検討する必要がある。
●大学入試は依然として初等中等教育の在り方や、児童・生徒の生活や学習に多大な影響を与えている。少子化時代に対応し、大学における「学而時習之」学びと思索の成果を厳正に評価し、卒業認定を厳格に行い、「入るよりも出ずるが難し」の方向で、大学入試の在り方の抜本的検討が必要である