全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報        平成19年3月23日  第49号
学習指導要領の改訂についての意見を具申しました
全連退 教育課題研究委員会(委員長 渋谷 安)は、平成17年4月以降の中教審教育課程部会の審議、平成18年2月18日の当部会の「審議経過報告書」等に基づき、「学習指導要領の改訂」の研究・協議を独自に進めてきました。

昨年末には、本会の念願であった、改革教育基本法が成立・公布(平成18年12月22日)にされたことや、本年1月24日の教育再生会議の第一次報告、更に、3月10日に中教審が答申をされたという客観情勢から、全連退として「学習指導要領の改訂について」の意見をまとめ、平成19年3月15日 伊吹文明文部科学大臣へ具申しました。当日は土橋会長、渋谷委員長、廣瀬部長、戸張総務部長が文科省を訪ね、大臣官房審議官(初等中等教育局担当)布村幸彦氏に意見具申文をお渡ししました。

全文、下記の通り


学習指導要領の改訂について(意見具申) 

学習指導要領は、日本人を育成する国の教育施策としての、不変の基本的な教育理念を具体的に示すものであり、教育の論理に基づいて作成されるべきである。特に、日本人としての資質である感性や意識の育成と伝統・文化の伝承を強く明示し、豊かな心や創造性の育成を明確にすべきである。

学習指導要領は、各学校が編成する教育課程の拘束性のある基準を示すものとして、その基本的な概念と構造を具体的に明確にする必要がある。また、学習指導要領の趣旨やねらいと内容について、教員の理解を徹底するために、指導組織の検討とそのための人的配慮や研修が必要である。

改訂とその内容について、全国連合退職校長会は、下記3点の意見を具申する。

1.教育課程の構造化

教育課程の構造と編成のための基本的な考え方、具体的な内容・方法を明確にすべきである。特に、各教科・領域の目標や特質と学習内容の構造と学力の「習得型」「探求型」「活用型」の相互関係の構造、およびそれらと指導要領の評価の観点と関連の構造を具体的に明示すべきである。

2.各教科・領域

現行の各教科・領域の目的・目標及び特質の再検討と再編を含め、基礎学力の充実のための基礎・基本を検討し、学習意欲や主体的学習等の育成を図るべきである。また、各教科、領域が構造化の視点をどのように有しているかを具体的に明確にされたい。特に、学習内容は、指定される授業時数内ですべて完全に指導し得るものを作成するべきである。

3.国語力の育成

国語力はすべての学習の基になるものである。学習指導要領の総則の一般方針に「言語活動」として「国語力の育成」を強く明示すべきである。日本人育成の根幹は、正しく美しい日本語を身につけさせ情操を培い、思考力や創造性を高く求めていくために、筋道を立てた論理的な思考と豊かな表現力を育成することである。

特に検討が必要な事項

1.「総合的な学習の時間」

① 取り扱いについては、現行学習指導要領の総則で説明はされているが、目的や正確と内容が明確でなく、各学校での実施の実態は様々であり、多数の問題も生じている。
  教科の授業時数を減らしてまで取り組む必要があるのか疑問であり、十分な検討が必要である。

② 改善の方策としては、必修の教科・領域以外の教育活動として、授業時数を定めず、各学校が独自に実施できるようにする。

2.「小学校の英語」

義務教育の小学校では、国語である日本語の学習や他の教科の基礎学力を充実することが先決であり、英語の学習を必修とすることは不要である。

3.「中学校の選択教科」

生徒に正しい選択意欲・能力があるかが問題であり、各学校で実施されている実態にも問題がある。義務教育である中学校においては、教科はすべて必修として授業時数を確保し、基礎・基本の学習を徹底すべきである。

教育行政として検討を要望する事項

①学校週5日制は、授業時数の確保や学校行事の実施に困難をもたらしているので、検討が必要であり、年間授業日数を具体的に規定すべきである。

②学習指導要領に示されていない、外部からの多様な教育の要求への対応について明示する必要がある。

③学力調査は、主に教科の「習得型」の学習内容の知識・理解の結果について行われているが、「探求型」「活用型」の内容も含め、調査と活用のあり方を検討すべきである。

④義務教育段階での進学塾で指導される学習内容と、大学をはじめ私立学校の入学試験問題が学習指導要領を逸脱していることについての対策を早急に講ずる必要がある。

⑤教員の勤務条件の整備に努め、多様な雑務や報告事務などによる多忙の軽減を図り、教育活動に専念できるように配慮されたい。

⑥中学校の部活動については、学校教育の一環としての位置づけは明確にして、教育家庭外の指導として、従事する教員に特別手当の支給を図られたい。