全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報         平成15年12月01日  第29号
中央教育審議会への意見文を提出しました  
平成15年11月19日、土橋荘司会長は、中央教育審議会鳥居泰彦会長へ、「義務教育など学校教育に係わる諸制度のあり方について」への意見文を提出しました。

これは、平成15年5月15日の中教審への諮問事項の第2項の答申が未だ出されていないことに鑑み、それに対する本会の考えを部長会において検討し、取りまとめたものです。

下記にその前文を掲載します。

<意見文>

義務教育は、憲法及び教育基本法に基づき定められている国民教育の根幹に係わる教育制度であり、すべての国民が学齢に達した子女を、9年間、学校において教育し、教育基本法に示されている「教育の目的」の達成を目指し、生涯教育の基礎となる一定の教育水準の教育を受けさせる教育である。

保護者には、その子女に9年間の普通教育を受けさせる義務を課し、その子女は、9年間の教育を受ける権利を持つ一方、国は良質な一定の教育水準を保障する責任がある。

  1. 義務教育に係わる諸制度の在り方について
    義務教育に係わる諸制度の在り方については、慎重に審議し、早急な結論を出すべきではない。

      今日、子どもたちを取り巻く状況や子どもたちの変化が教育上の問題となっているが、その要因や背景は、学校教育の在り方よりむしろ社会環境や大人自身の在り方が大きく影響している。たとえ、子どもたちを取り巻く社会状況や子どもたちに変化が見られようと、個人の尊重を重んじ、国家及び社会の形成者としての国民の育成を期するため、一定の教育水準を保証する義務教育の理念や制度は引き続き規定すべきである。

      なお平成15年3月20日の中央教育審議会答申においては、「特に、学校教育法については、教育基本法改正」にあわせて、各学校種ごとの目的、目標に関する規定などについて、見直す必要が生じると考えられる」と述べており、義務教育制度については、教育基本法の改正を待った上で慎重に審議されたい。

     さらに、その際、完全学校週5日制についての検討もされることを希望する。

  2. 義務教育における教育条件整備の在り方について
    義務教育費国庫負担精度は現状を堅持し変更すべきではない。


     義務教育費国庫負担制度は、国として義務教育を一定の教育水準に保つための根幹に係わる重要な制度であり、先にも述べたように国民に義務教育を受けさせる義務を負わせる一方で、国は良質な一定の教育水準を保障する責務を負わなければならない。地方分権化や構造改革が進展しても、費用の分担はあいまいにすることなく、この制度を堅持し、国としての責任を地方自治体に転嫁することは許されない。

     憲法では、「義務教育は、これを無償とする」と定めており、先の中央教育審議会の答申においても、「義務教育9年間、義務教育の授業料無償の規定は、引き続き規定することが適当」と述べている。

  3. 学校の管理運営の在り方について
    学校の管理運営の在り方は、大きく変える必要はない


      学校は、「公の性質をもつ」ものであり、義務教育を実施していく責任は、原則的には国と地方公共団体にあり、具体的には主として各地区の教育委員会と実際に教育を行う学校、その責任者である校長にある。

      構造改革等の掛け声に押され、教育の論理よりも経済・財政の論理や行政・政治の論理、目先の効率性等を追求することが優先してはならない。

     先の中央教育審議会答申では、「学校には、国民全体のために教育を行うという公共性が求められること、また、その設置者には、一定水準の教育条件を確保するために運営の安定性や継続性を担保する能力が求められることを踏まえて、引き続き規定することが適当である」と述べている。このことを重大に受けとめる必要があり、この件についても、教育基本法の改正を待って検討する必要であり、結論を急がず慎重に審議されたい。

  4. 学校教育に携わる教員の資質の向上が必要である

      学校教育の成否は、子どもの教育に直接当たる教員の資質や学校の責任者である校長の資質に大きく左右される。特に、教員採用後1年間の初任研修を実施しなければならないような、現行の教員養成課程の在り方についての根本的な見直しと、教育職員免許法を見直すことが必要である。

      また、教育や校長が自らの使命や職務を自覚し、研究と研修に励み自らの資質の向上に進んで努めることができるよう環境・条件の整備をすることが必要である。

  5. 審議に当たっては、現職、特に校長の意見を十分に聞くとともに、広く国民の意見を聞くことが必要である

      学校で子どもの教育に直接当たるのは個々の教員であり、各学校の責任者である校長である。学校教育を進める上で何か隘路であり、どう進めればよいか、日々の学校教育に真剣に取り組み、具体的な体験や経験を通して得た校長や教員の意見を十分に聞かず、形式的な公聴会等を行っても広く国民の声を聞いたとは考えられず、実効の上がるものとは考えられない。特に、学校の責任者である校長の意見は十分に聞き審議に活かすよう強く希望する。