全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報        平成24年6月14日  第102号 
平成24年5月15日、中央教育審議会教員の資質向上特別部会が「審議のまとめ」を発表し、その内容に関し意見募集をしました。本会としての意見を4頁にまとめて提出しました。以下、報告します。意見書は全連退HPの「トピックス」欄にも載せています。

「審議のまとめ」についての意見 (その1)

1 教員免許状が真に教員を志望する者に授与されるような仕組みの構築

(1) 学部における教員養成の充実
①教員養成カリキュラムの改善の2つの視点

一点目は、学校の二-ズに応え得るカリキュラムの改善である。現場の教師の声とし
て、学生時代、受講した大学での教科・教職講座の有用性に疑問を感じている声が多い。授業研究や実践演習などを通して学校のニ-ズを取り入れたカリキュラム開発を一層進めていく必要がある。また、教職課程担当教員が常に学校の実態を理解した上で、「学習科学」や「教科内容構成」等の研究・教授の一層の工夫・改善を図り、確かな実践的指導力を持つことである。
 二点目は、単に授業技術、生活指導の手法に偏したカリキュラムでは不十分である。学生の専攻科目・内容について、その学問的な研究手法や学問の深め方についてのゼミ演習なり卒業論文をしっかり課すことである。この経験が以後の学習指導の場で生かされ、資質向上に欠かせない不断の研究意欲につながり、探求的に「学び続ける教員」を育てることに通ずる。
②教職課程の質の保障
 教職課程設置認定審査の厳格化や、課程認定委員会の実地視察の工夫でさらなる改善を図る。
③いわゆる「実習公害」の是正
 学校では春季や秋季に、玉石混淆の多数の教育実習生を受け入れ指導に当たっている。貴重な授業時数の中で実習生全員が授業実習を行えるように配慮している。中には、後で担当教師が再度同一の授業内容を繰り返し指導することも稀ではない。公務多忙な中でも後輩の育成のため指導に努めているが、実習生の教職に対する意思と自覚の面で疑問を感じることも度々である。「審議のまとめ」で記している観点(学校ボランティアを参加要件、実習前の面接・レポ-ト提出、医師等の共用試験など)を、ぜひ、実現可能な制度として具体化し、実習前の学生の質保証を図る必要がある。

(2) 教職大学院の充実
「現職教員学生」にとっては、これまでの実践を理論的に省察する機会が得られ有効な2年間となる。修了後は処遇面でも一定の措置を講ずる必要がある。学校としての課題は校内で貴重な人材を派遣した後の不安感である。適切な教員補充ができるよう教育委員会の人事上の措置が速やかに行われることが重要である。
教職大学院の「実務家教員」に人材を得ることが必要である。学校での指導経験や役職経験の有無、教育行政職としての経験等に加え、専攻分野での専門的な研究成果や著書・論文等の実績のあるものから人選する必要がある。
教職大学院が真に大学院としての評価を得ることが最も重要である。

(3) 教員採用の在り方
① 筆記試験や面接による知識・能力や適性・意欲を判断することに加え、「審議のまと
め」の指摘のように、大学での学習や部活動・サ-クルでの活動状況、学校ボランティア経験、臨時的任用教員、非常勤講師時代の評価等、多面的な選考方法を取り入れることは有効である。
② 採用年齢を緩和し教職以外の職にある人材の採用に当たっては、特に教職への熱意や専門性、人間性を重視する必要がある。
③ 採用後短期間で教職への無力感、不適応感を抱いたり、不適切な行為で教職を去る新卒者の出ないよう慎重な選考方法を講ずることが肝要である。教員としての適格性や情熱、個性等も吟味し、学歴に偏することなく優秀で意欲のある人材の確保に一層の工夫が必要である。

2 教員免許状制度の現実的改革

(1) 中長期的視点では修士課程レベルによる教員養成が好ましい

  教員養成の高度化・専門職化は非常に重要な目標である。教員の社会的地位の向上を図り、尊敬と信頼の得られる状況の下で行われる学校教育の実現は喫緊の課題である。しかしながら、現状で修士課程を義務化することには無理がある。養成課程が長くなり教員志望者数減少への懸念(免許状取得への経済的・時間的コスト)、学生を養成する大学側の条件整備不足、自治体側の採用体制等々、課題が山積しており、短期的な実現は難しいと判断できる。実現のためには国としての長期的戦略と相応の財政支出が必須条件となる。修士レベル化を目指す「審議のまとめ」の方向性には賛成である。

(2) 学部卒業者には基礎免許状を授与

  教科に関する専門的知識・技能、教職に対する基礎的な知識・技能を学び、教育実習や子どもに関わる実践演習等を通して教員になることへの責任感と教育的愛情を醸成する。卒業時には必要単位を修得した者に基礎免許状を授与する。卒業後の進路は個性、希望に応じて、教員採用選考に臨む者、一般企業に進む者、さらに修士課程に進み一層のステップアップを図る者等、複数の選択肢が想定される。


以下は、情報103号に継続して報告します。