全国連合退職校長会(全連退)

設立 1965年(昭和40年)6月10日
Update 2014年04月10日
Renewal 2014年04月01日
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全 連 退 情 報        平成12年11月16日  第10号
 「全連退」会長は、教育改革国民会議の中間報告への意見を、平成12年11月13日、江崎 玲於奈座長に提出いたしました。その全文は、下記の通りです 
教育改革国民会議中間報告への意見  
教育改革国民会議は、平成12年3月27日の第1回会合以来、精力的に会議を開催され、同年9月22日、その中間報告を発表されたことに敬意を表する次第であります。
  全国連合退職校長会(略称「全連退」、会員数91,000名)は、中間報告の「教育を変える17の提案」について、検討、協議を重ね、下記の意見をとりまとめました。
  ついては、来る12月に予定されている「最終報告」が、本会の意を十分踏まえた報告になることを強く希望いたします。
 
1.「中間報告」全文について。

(1)全国連合退職校長会(以下、「全連退」とする)は、かねてから、「教育の本質はなにか」について考えを深めてきた。時あたかも、教育改革国民会議が発足し、それへの諮問事項の中心が、「教育改革とはなんぞやという原点に立ち返り、教育百年の計を策定することである」と理解し、その報告を心から期待していた。しかるに、中間報告は「教育の本質」に係る 内容に乏しく、教育改革の基礎となる基本理念も不明確であり、思いつきと思われる提案が多く、一貫性、系統性に欠ける。
 「全連退」は、この際、教育の原点に立ち返り、「教育の本質」を明確にされ、最終報告に記載されることを、強く希望する。

(2)学校、家庭(家族)、地域社会のそれぞれの役割、責任について殆ど述べられていない。この点を明らかにされたい。さらに、「学校は学ぶための場」であることを強く認識され、学校への過度の要求、依存のないよう見直しをされたい。

(3)臨教審、中教審、教課審等の答申や学校指導要領との関係について検討し、整合性を図られたい。

(4)わが国の教育改革の方向性と、諸外国(アメリカ、イギリス、フランス等)の教育改革の方向性を十分比較検討され、わが国の教育改革の誤りのない方向を示されたい。

2.「学校は道徳を教えることをためらわない」では、教科として小学校に「道徳」、中学校に「人間科」、高等学校に「人生科」を設けることを提案している。
  小・中学校の学習指導要領に示されている、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育や、その要としての役割を担う時間が「道徳の時間」であるという原則を踏まえた上で、道徳を一つの教科にしていくことを視野に入れながら、道徳教育の充実を図る事も一つの方法である。また、高等学校に「人生科」を設ける場合、「必修」にしなければ意味がないと考える。今日の道徳教育を巡る学校の現状の改善には、各学校への道徳主任の配置を図ることが重要である。また、教員養成課程の充実、教員の意識革命を図るとともに、各教育委員会への道徳担当指導主事の配置という投資を行うことを提案する。これらのことを、最終報告に盛り込まれることを強く希望する。

 
3. 「奉仕活動を全員が行うようにする」については、「奉仕の志」を掲げて活動することにより、思いやりの心や社会性を身につけることができるという提案は理解できる。
  先ず、家庭において「子供に家事を分担させる」という、最も身近な奉仕活動を実践すること、学校における教室、廊下、校庭等の清掃美化作業を児童・生徒に課し、学習・生活環境の美化作業という奉仕活動を徹底して実施することにより、中間報告にいう、思いやりの心や社会性を身につけることができると考える。
  学校における「奉仕活動」の期間を限定する提案は頷けない。また、期間を限定しても、それを教育課程の中に組み込むことは不可能に近い。
  諸々の奉仕活動、ボランティア活動等は、地域社会で行うようにすべきである。
 
4.教師の意欲や努力が報われ評価される体制を作る。
  このことについては、教師の人事考課(勤務評定)を適正に行うことが大前提である。その結果、顕著な教育効果の認められる教師を厚遇する道を開くことに賛意を表する。日頃、児童・生徒愛を心に秘め、優れた教育活動に尽瘁している教師を尊重し、その努力を認めいっそう精進するよう支える体制を作ることこそ喫緊の課題である。このことを最終報告に盛り込むことを希望する。さらに、「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別処置法」(いわゆる「人確報」)の目的、優遇措置に則り、教育職員(管理職を含む)の処遇改善を図る事も最終報告に盛り込むことを要望する。

 
5.「教育基本法の見直しについては国民的議論を」について。
教育基本法は、戦後間もない、昭和22年に制定された法律であり、現状に照らしてみると、幾つかの改正を要するところがある。「全連退」は、肝心な「歴史と伝統・文化を尊重し、家族愛や郷土愛、愛国心を育むという視点」が抜け落ちていると考え、教育基本法の改正を強く希望している。その趣旨を、最終報告に明確に記載されたい。
  なお、「全連退」は、日本の教育の指針となる「教育憲章」の制定を国に要望している。それは、日本の教育の理念をより明確に、かつ、具体化したものであることを付記する。
(「全連退」は、「教育憲章」(案)を用意していることを申し添える。)
 
6.教育に関する総合的な施策が必要である。
  中間報告の「おわりに」に、「省庁の枠を超えた政府全体の取り組みを強く希望する」と述べられている。このことこそ、21世紀の日本の教育に極めて重要なことである。
  ついては、その総合的な施策の具体的な姿を最終報告に述べられることを、強く希望する。